テーブルウェアやステーショナリーといった日用品を企画・販売するブランド「アッシュコンセプト」のオリジナルブランド「+d（プラスディー）」からふたつの新製品がリリースされた。

ひとつは、ロンドンをベースに活動する安積朋子さんのデザインによるソーラーランプ「Floe（フロウ）」。もうひとつは、トラフ建築設計事務所によるミラーオブジェクト「Sun Flower（サンフラワー）」だ。

安積さんがFloeを思いついたきっかけは、2012年にロンドンのテートモダンで開催されたオラファー・エリアソンのパフォーマンスにあったという。人々はエリアソンがデザインした黄色い花の形をしたソーラーライト「リトルサン」を持参し、照明を落とした真っ暗な美術館のなかで、斜めから作品を照らして質感を浮き上がらせたり、彫刻の影とたわむれてみたり。それが「予想以上に楽しい体験だった。このような光と空間の感覚をインテリア製品に持ち込めたらと考えた」と言う。

Floeは、海に浮かぶ流氷を模した六角形だが、単にイメージから導き出した形ではない。これにより、地域や季節によって変わる太陽の位置にあわせてソーラーパネルの向きを調整できるという機能性を実現している。

また、安積さんが「開発当初の5年前は全く違う形で、ボディはシリコン製を想定していた」と言うように、試行錯誤の末に素材は磁器に変わった。鋳込み成型の磁器ゆえ、ボディの厚みには若干のグラデーションが生じるが、それがマイナスではなく、自然素材ならではの温かみにつながっている。触れたくなる照明器具とは珍しい。

太陽の光や位置に思いを巡らすなど、Floeは気づきを与えてくれる照明器具になりそうだ。なお、アッシュコンセプトにとっては、Floeが電子部品の入った初めての製品となる。

もうひとつのトラフ建築設計事務所による「Sun Flower（サンフラワー）」は、花を生けるように手持ちのボトルなどに指して使う鏡でありオブジェ。アッシュコンセプトの名児耶秀美（なごや・ひでよし）社長は、「トラフ建築設計事務所の人気商品『空気の器』は器なのに何も入られられない。Sun Flowerも最初に話を聞いたときは、自立しないミラーというのでは難しいと思った」と振り返る。それでも「彼らは僕が考えているよりも、さらに先の暮らしを見据えているに違いない」と開発に踏み切った。

トラフの鈴野浩一さんは「人が手を加えることで完成するプロダクトだから愛着が持てる」と言う。また禿 真哉（かむろ・しんや）さんは、「リビングなど通常ミラーが置かれない場所に置くことで、日常の景色を切り取るような感覚が楽しめる」と話した。

Sun Flowerでは、ミラーを覆う部分とボトルに指すパーツの素材を変えつつも見た目の質感を統一したり、ミラーをプラスチック本体にテープで接着すると鏡面に歪みが出てしまうことから、成型時に圧着するというような試行錯誤の末、完成した。

2002年に創業した同社は、今年15周年。ふたつの製品は、デザイナーや建築家の想いも詰まっているが、同様に、アッシュコンセプトにとってもエポックとなるプロダクトになったと言えるのではないか。名児耶社長は「今は知性の時代。デザイナーや建築家の考えを製品を通じて伝えていきたい」と語った。

「Floe」
価格：10,000円＋税
サイズ：約W170 X D90 X H146mm
重量：約670g
充電時間：約6～12時間（ソーラー充電・晴天時）、約4～5時間（USB充電）
連続点灯時間：約8時間（満充電時）

「Sun Flower」
価格：3,000円＋税
サイズ：Φ186 X H21mm
重量：約195g
カラー：ブラック、ホワイト、イエロー

詳細：http://h-concept.jp