AXIS 178号 特集
「エネルギーの新しいかたち」

現在発売中のAXIS178号の特集は「エネルギーの新しいかたち」。

石油や天然ガスといった化石燃料の枯渇が危ぶまれ、地球温暖化や原発の問題に直面する現在、世界各地で自然エネルギーへの転換と活用が加速していいます。この特集では、日本各地に広がるご当地電力をはじめ、「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」などの観点からの多様なプロトタイプなど、創造性溢れる取り組みを紹介しています。

簡単に内容をご紹介すると……。

環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也氏 インタビュー
「エネルギー4.0」—自然エネルギーへのビッグシフト

多くの市民がエネルギー供給のあり方について考え直すきっかけとなった3.11の原発事故。「与えられるのではなく、自分たちで電力をつくれないのだろうか」。太陽光や風力、地熱などの身近な自然エネルギーが新たなブレークスルーとして希望の光をもたらした。各地で動き始めている「ご当地電力」は地域コミュニティのあり方も変えつつあるという。自然エネルギーによる「第4の革命」をうたう環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏に、これからの自然エネルギーがいかに自由なかたちで発展していくのかを聞いた。

これからのエネルギーのかたち
「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」

過去に私たちは、化石燃料やウランなどの地下埋蔵資源から取り出される枯渇性エネルギーを、あたかもそれらが無尽蔵であるかのように利用したり、排気や廃棄物が環境汚染につながる危険性に目をつぶって、利権や関連産業の維持などを重視するエネルギー政策に頼ってきた。しかし、その流れはすでに限界を迎えており、エネルギーの生成から利用までを考え直し、消費を上回る速度で補充や備蓄が行える再生可能エネルギーへの転換を迫られている。
ここでは、「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」という4つの切り口から興味深い事例を採り上げて、これからのエネルギーのかたちに対してデザインができることは何かを垣間見ていくことにする。

その1 エネルギーを「つくる」では、アルタエロス・エナジーズ社による運搬可能なチューブ型気球の発電システム「BAT」や、九州大学の風レンズを応用したレンズ風車、ノルウェーのハブクラフト社による波力発電システムなどを紹介。

エマミ・デザイン代表 アーマン・エマミ氏
デザインで、わかりやすさ・取り入れやすさを持ち込む

エネルギーの先端を語るうえで、ドイツを外すことはできない。世界のどこよりも早く原発ゼロを決め、再生可能エネルギーへの転換を実践している国で、デザイナーはどのようなかたちでその潮流に関与しているのだろうか。ドイツで多様なエネルギー分野のデザインに関わるアーマン・エマミ氏にインタビュー。

これからのエネルギーのかたち
「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」
その2 エネルギーを「運ぶ」
では、川崎重工による氷海仕様LNG運搬船や液体水素運搬船、三菱重工が開発中の無線送電システムなどを紹介。

見果てぬ夢か、人類の未来か
エネルギーの高効率利用が導くモビリティ革命

旅客機の飛行時の燃費は、完全にコンピュータを使って設計されたボーイング777-300の場合で、1ℓあたりわずか65m。もちろん、乗客数や移動速度の違いから他の交通機関との単純比較はできないものの、衝撃的な数字である。それでも1970年頃の航空機と比べれば、3.5倍以上に向上しているのだが、空に限らず乗り物の世界でこれ以上にドラスティックな効率の改善を望むなら、より根本的な変化が求められる。ここでは、一般への普及はまだ先のこととしても、未来へとつながる事例をいくつか紹介しておこう。

これからのエネルギーのかたち
「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」
その3 エネルギーを「貯める」
では、テスラの壁掛け型「パワーウォール」と施設型「パワーパック」、エアリーズ社の重量利用システム、シン・レッド・ラインによる水中に沈めて水圧を利用するシステム「エアロスペース・エナジーバッグ」などを紹介。

藤野電力 エネルギー戦略企画室 室長 小田嶋電哲氏
“自分ごと”としてエネルギーを考える

日本各地で立ち上がっている“ご当地電力”。地域の人々がそれぞれの特性を生かし、個性ある活動を行っている。そのなかでも神奈川県相模原市の藤野電力は、ワークショップや祭りなどのイベントを通して、自分でエネルギーをつくることの楽しさを伝えようという、どこか肩の力が抜けた、ユニークな存在である。

これからのエネルギーのかたち
「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」
その4 エネルギーを「使う」
では、ネストラボ社の家庭のセントラルヒーティングシステムなどと組み合わせて利用されるIoT的な省エネ製品「ネスト・ラーニング・サーモスタット」や、ボストンの「E+タウンハウス」、アフリカン・クリーン・エナジー社のエース1クックストーブなどを紹介。

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