廃棄物の分別はデザインの最終工程

父の日に娘にもらいました。この写真を見て、皆さんはどう思いますか? 何を感じますか?「写真の撮り方が下手だな」「かわいい煎餅だな」「うまそうな煎餅だな」……。デザインの仕事をしている人はさらに突っ込んだ視点になるでしょう。私の視点は「ありがとうの紙のシールは剥ぎにくいな」「フィルムはPPだな」「中にPSのトレーが入ってる」となります。

肉や魚をレジ袋に入れる際によく使う小袋に入れました。入れましたというより、この状態で娘からもらいました。

本題です。一般的に“リサイクル”というと、ペットボトルをリサイクルして服をつくる、イスをつくるなど、再度モノに変化させること、専門的に言うと“マテリアルリサイクル”を指している場合がほとんどです。

では、上の写真を分別してみましょう。周りのくもった小袋はPE(ポリエチレン)です。煎餅は美味しくいただきます。煎餅の袋はPP(ポリプロピレン)です。中のトレーはPS(ポリスチレン)です。さらに、PPについているシールは剥ぎます。乾燥材を取り除いて完了です。剥いだ紙のシールを含め、5種類に分別できました。これが、マテリアルリサイクルの分別です。そして、これが、ナカダイの仕事です。

たくさんの取引先がさまざまな廃棄物を出しますが、徹底して素材ごとに分別して、マテリアルリサイクルをしています。同時に、ナカダイと取引している企業は、従業員にこの分別を徹底しています(ナカダイのホームページの主要取引先参照)。

ところで、食べ物が入っている袋のほとんどに、手ですぐに切れるギザギザがついています。縦にピッと引くと切れるあれです。スムーズにスーッと。あれが、PPです。中身が取り出しやすく、便利です。食パンの袋、アイスの袋、カップラーメンの中の袋……。では、先ほどのくもった小袋で試してみてください。伸びて、切れにくくないですか? そうなんです、同じフィルムでも樹脂が違うんです。皆さんも、ビョーンと伸びてなかなか取り出せない袋から無理やり煎餅を出して食べたことがありませんか? 切れなくて、思いっきり力を入れたら、全部こぼしたなんてことも……。あー、知らず知らずのうちにちょっと便利な生活してるんだなと変な納得をしてしまいます。

もう1つ。男性用と女性用のシャンプーやリンスのボトルを想像してください。何となく女性用のほうが高そうですね。ボトルの部分にPET樹脂を使用すると、それだけで容器に光沢がでます。高級そうです。値段が高くても仕方ないか、となります。

では、女性の方に質問です。旦那さんに買ってくる容器と同じ質感の容器のシャンプーに、「つやつやの髪になります」との謳い文句、信用できますか? さらに、値段が倍でも買いますか? 値段が高くても見た目で買ってもらう。これがブランド戦略ですね、デザイナーの視点です。一方で、私の関心ごとは、ボトルがPETでキャップがPPである時点で分別しにくい!! だいたいシャンプーを出すときに使うポンプは、中にステンレスの小さい玉が入っていて、挙句にスプリング(鉄)なんてものまで入っているのでリサイクルしにくいことこのうえない!! ポンプだけで、少なくとも3種類の樹脂が使用されている。なんて面倒な代物!! これが、中台澄之の視点です。

まとめです。私は、モノの始まりは製造時ではなくデザイン時だと思っています。モノのスタートを担うデザイナー、モノの最後を担う廃棄物業者。つくる側から考える人と壊す側から考える人。私はこの両者は実は近い存在ではないかと思います。良く考えれば当然かもしれません。デザイナーがよくよく考えてデザインし、それをもとに製造したモノを、逆の工程で分別していくのが私たちの仕事なのですから。しかも、その特徴をきっちりとらえて、把握したうえで、分別、解体していきます。このベクトルの違いをビジネスにしましょう。面白いビジネスになります。これが新しいモノの流れをつくること、リマーケティングビジネスです。

最後に、前回1日500mlペットボトル22,000本の廃棄物が入荷すると書きました。その他、お客さんがすでに分別していて、ナカダイでは分別費用がかからないモノ、つまり、有価物として購入するモノが50t/日あります。500mlペットボトル100,000本分、つまり、廃棄物、有価物合わせて122,000本です。その一部をホームページ上の「マテリアルライブラリー」で回覧できるようになっています。是非ご覧ください!!(文・写真/中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。