AXISフォントが動く!
ウェブメディアのCMで問われる文字の力

テレビCMの企画制作を主軸に50年の歴史をもつ太陽企画。メディアの多様化に伴い、それまで映像ディレクターやエディターなどが手作業でやってきた映像の文字組みを、専門のアートディレクターが手がけるようになった。グラフィックのプロと映像のプロが組むことで、より目的に適ったコミュニケーションコンテンツの制作が可能になる。AXISフォントを活用した映像の事例を紹介する。

▲太陽企画株式会社 アートディレクター/デザイナー 佐藤晴美さん

――太陽企画という会社について教えてください。

太陽企画は年間300本余りのテレビCMを制作しているほか、プラネタリム用映像や博物館などの大型展示映像、プロジェクションマッピングやVRを用いた体験型イベント施策も手がける、映像制作会社です。社内には複数の制作部門があるほか、「TOKYO」や「school」といった、制作部門と演出部門が融合したユニットをつくるなど、各々の特色を活かした作品を生み出し続けています。太陽企画全体では、カンヌライオンズで9年連続受賞するなど、海外からも高い評価を得ています。

――経営会議を中心に、周囲にさまざまなセンターを据えた組織です。

大きくは「プロデュースマネジメント」「経営マネジメント」「プロデュース戦略」「ビジネスデザイン」の4つのセンターと、「TOKYO」という海外クライアントの制作を扱うチームから成ります。各センターは個別の目的をもったユニットで構成されています。例えば「ビジネスデザインセンター」の「school」は、映像とインタラクティブの両方を扱うクリエイティブユニットで、実験的なプロジェクトを担当し、他にもVRや8Kなどの新たな映像体験を開発する「R&D」というユニットがあります。

映像に求められる絵と動きの両立

――アートディレクター/デザイナーとして、佐藤さんは「school」に所属しています。主にどんな仕事をしているのでしょうか。

「school」は、テレビCMはもちろん、ウェブサイトやプロモーションビデオ、SNSを絡めたインタラクティブなコンテンツなど、実験的な案件に取り組んでいる部署です。そのなかで私は、映像にまつわるグラフィックや文字組みのデザインを中心に行っています。また会社のパンフレットやグッズのデザインといった、映像以外のグラフィックの仕事も受けています。

もともと映像の文字組みやレイアウトは映像ディレクターやエディターがやるものでした。20年くらい前までは、フォントの見本をコピーして切り貼りして、4:3の画面にレイアウトを組んでみて決めるという、本当の手作業だったようです。その後パソコンが導入され、IllustratorやPhotoshopを扱えないと「仕事にならない」と言われて、ディレクターたちも必死に使い方を覚えたのだとか。必要だからやっているのであって、専門の教育を受けているわけではないから、センスや知見にも限界がある。そこへウェブデザイナー兼グラフィックデザイナーとして、5年ほど前に私が採用されました。

プロデューサーやディレクターはグラフィックの専門ではないけれど、映像としてイマイチなレイアウトを一瞬で見抜いてしまいます。私の役割は、彼らが抱いた違和感や「どう解決すればいいかわからない」というときに、さっと修正したり、整えて見せることです。例えば15秒CMであれば、冒頭に現れるタイトルデザインや、最後の13〜14秒あたりに出る「今なら月々何千円」といった文字組みなどですね。映像は動きがあるため、多くの場合は映像チームと相談しながらデザインを進めていきます。

▲花王の男性用ヘアケア商品「リーゼフォーメン」のウェブCMでは、AXISフォントのコンデンスを使用。

数秒間の表示のあいだにいかに情報を伝えるか

――AXISフォントを使った使用事例をご紹介いただきます。まず、花王の男性用ヘアケア商品「リーゼフォーメン」のウェブCMですね。

これは、YouTubeに掲載される広告動画(トゥルービュー広告)のうちのインストリーム広告です。この広告は5秒後にスキップすることができます。そのため、最初の5秒間で伝えられるだけの情報をなんとか伝えないといけない。さらに映像の監督からは「シンプル、おしゃれで、かっこいいタイポグラフィで見せたい」と言われ、AXISフォントのコンデンスを採用しました。

――採用のポイントを教えてください。

男性向けの商品なので、すっきりしてソリッドな書体がいいと思いました。AXISフォントのコンデンスは、しゃれっ気がありつつ、少しカジュアルで親しみやすさもある。普通のフォントに長体をかけると縦のラインが細くなってしまうのですが、これは縦のラインがしっかりあって視認性も高い。

――コンデンスは、食品表示など狭いスペースにたくさんの文字を収めるために使うユーザーが多いので、こうした動きのある映像での使用は新鮮です。

他の細長いフォントもたまに使いますが、そちらは遊びの要素が強い。AXISフォントのコンデンスは清潔感のあるきれいなかたちで、誠実な印象があります。さらに文字間をあけると、かわいく、おしゃれになって、さらに読みやすくなるんですよ。監督から「これを入れてください」と渡されたテキストが、漢字も多くてボリュームがあったので、一瞬で目にした時の読みやすさをとても意識しました。たとえすべて読まれなくても、「おしゃれで機能性もあるヘアケア用品なんだな」という印象をもってもらえればいい。それを叶える絶妙なバランスがAXISのコンデンスにはあったのです。

――こちらはミサワホームのウェブ。最初の画面の、動画を再生するボタンにAXISフォントを使っています。

本編の動画は、ちょっとずつ手で描いたり、ハサミで紙を切り抜いていきながら、コマ撮りで撮影したものです。とても手が込んで大変な撮影でしたが、映像自体は割とふんわりとした優しさがあって、クリーンなイメージがある。そんな映像に導く、一番大切な「ボタン」を押してもらうために、AXISフォントを採用しました。

――こちらもコンデンスですね。

映像と通じるような清潔感があって、ユーザーインタフェースとしても見やすい書体ということでAXISフォント、さらにもう少しおしゃれに見せたかったのでコンデンスを選びました。AXISのレギュラーは信頼感や誠実さといったイメージがありますが、コンデンスは私のなかではまた違う印象があります。少しカジュアルに感じるんです。

――フォントの「清潔感」というのは。

無駄がないということです。普通のゴシック体には「セリフ」と呼ばれる小さな凸状の飾りがついています。AXISフォントはセリフがないため、造形的にシンプルでクリーンに見えるのです。

ますます問われる文字の力

――佐藤さんがフォントを選ぶときに気をつけていることはありますか。

仕事にもよりますが、少なくともビジュアルとフォントがぴったり合致するように心がけています。でも、フォントで遊ぶのも好きなんです。私はもともとタイポグラフィが好きで、ほかの仕事でも文字をビジュアルのメインにすることが多いですし、手書きの文字もけっこう使います。パソコンのなかに無数のフォントが入っていますが、「このあたりのフォントだな」ということがなんとなくわかるんです。

――ウェブメディアのCMが増えています。テレビCMとは異なる条件のもとで、映像におけるフォントや文字の重要性はどう変化していくと思いますか。

これまで映像と文字の関係ってあまり語られてこなかったと思います。けれど私たちはCMを中核としている会社なので、商品名や商品の情報、クライアントの名前など文字との付き合いは深い。その重要度はこれからさらに増していくでしょう。テレビCMは15秒と30秒が標準で、映像に語らせるだけの時間がありました。しかしウェブメディアではより短時間かつストレートにものを伝えていかなければならない。そうなったときに、文字の力に頼る機会は必然的に増えてくるかもしれませんね。(Photos by Kaori Nishida)End

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