月や火星に住むための人工重力施設
京都大学と鹿島建設が共同研究

▲ヘキサトラックシステム(提供:山敷庸亮 総合生存学館教授)

人類は現在、宇宙空間に「滞在」する時代から、月や火星で「生活」する時代へと移行しようとしている。そこで、京都大学 総合生存学館SIC有人宇宙学研究センター鹿島建設は、その実現に向け、「1Gは人類のアイデンティティ」という認識のもと、3つの構想を掲げて研究に着手することで合意した。

その構想とは、月および火星での生活基盤となる人工重力居住施設「ルナグラス®・マーズグラス®」、宇宙に縮小生態系を移転するためのコンセプト「コアバイオーム」、そして惑星間を移動する人工重力交通システム「ヘキサトラック」による人工重力ネットワークの3つからなる。

「ルナグラス®・マーズグラス®」は、人類の宇宙での生活におけるコアテクノロジーとなるもの。宇宙空間や月面、火星面において、回転による遠心力を利用し、地球環境同等の重力を人工的に発生できる施設で、この施設で生活することによって、低重力の空間でも人類は安心して子供を産み、いつでも地球に帰還できる身体の維持が可能となる。

▲ルナグラス(提供:大野琢也 鹿島建設 副部長)

さらに、地球上の生存基盤の拠り所となる「自然資本」を宇宙に移転するために、要素を抽出した地球生態系システムを「コアバイオーム複合体」と定義。そこから移住に必要な最低限の「選定コアバイオーム」を特定し、ルナグラス・マーズグラス内においてミニコアバイオームを確立させることを目指す。

また、地球・月・火星惑星間軌道交通システム「ヘキサトラックシステム」を展開。この人工重力交通機関により、各コロニー(居住集団)間を移動する未来宇宙社会(コアソサエティ)の長距離移動においても1Gを保つことができる。

▲コアバイオーム模式図(提供:山敷庸亮 総合生存学館教授)

今後は、人工重力施設という装置の具体的なありかたや、生態系の宇宙での再現のありかた、人文的、法的、制度的に必要となるものを検討していく予定だ。End