国内最大級の茅葺き屋根を実現した
坂茂設計の農家レストラン「陽・燦燦」

兵庫県淡路市では、農・食・住の体験ができるサスティナブルガーデン「Awaji Nature Lab&Resort」が2021年にオープンした。同施設内にある農家レストラン「陽・燦燦(はる・さんさん)」は、建築家・坂茂が設計を手がけた建築である。

同氏によると、「クライアントから、淡路島で社員が営む農園の真ん中に、そこで取れた野菜が食べられる『農家レストラン』をつくってほしいと依頼された」そうだ。そこで同氏は、これまで開発してきた紙管構造と最小限の木を用いたハイブリッド構造を採用。大断面の木の代わりに、構造的に必要な太さの紙管を使うことで、力強い小屋組みの内部空間を実現した。

屋根の「茅葺き」は、神戸市北部で活動する茅葺き職人・相良育弥(くさかんむり)が担当。530平米の屋根を、ヨーロッパ各国で茅葺きの新築を作る際に用いられる「気密工法」によって葺いている。

従来の茅葺き屋根は、丸太や竹などで組んだ格子状の骨組みに直接葺くので、屋内から直接茅が見える構造である。ただ、通気性は確保できるが、現代では実生活上・法律上の観点から新築施工がしづらいという。

一方、この気密工法は、火災リスクを軽減するため、屋根の下地に準不燃ボードを設置する工法で、火災が発生しても「酸欠状態」となるので、火が燃え広がるリスクを最小限にとどめることができる。

▲相良 育弥(株式会社くさかんむり 代表取締役社長・茅葺き職人)

今回の現場は、周囲に構造物が隣接していないことや、入念な防火対策を講じた施設であることから、国産のススキを用いて、気密工法での屋根葺きを行った。日本国内最大級の茅葺き屋根だそうで、食事とともに職人たちの挑戦や建築を楽しむことができるだろう。End