岐阜県安八町に本社を構える清水材木店は、一枚板専門のオンラインオークションサイト「OakBet（オークベット）」を2025年7月にローンチした。

木材市場ではこれまで、木の節や割れ、虫食いの跡などは「欠点」と見なされ、価値が正当に評価されにくい状況があった。そこで同サービスは、これまで価値が見出されにくかった木材に光を当て、オークションを通じて個性的な一枚板と出会える機会を提供する。

「OakBet」ウェブサイト

業界関係者に限られた従来の調達方法を転換するべく、オークションにはプロの職人からDIY愛好家まで、場所を問わず誰でもオンラインで参加可能とした。廃棄される木材を削減するだけでなく「節は、光を求めて枝を伸ばした努力の記憶」「割れは、厳しい風雪に耐え抜いた力の痕跡」「虫食いの穴は、森の生態系の一員としてほかの生命と共存した証」といった、一枚一枚の木材がもつ物語を知ることができる。

また、同サービスでは補修が必要な木材を積極的に選別。日本の伝統文化「金継ぎ」の手法のように、木の割れ目に樹脂を流し込み、「契り（ちぎり）」と呼ばれる補強なども施すことで、傷を新たな価値ととらえ、その木がもつ魅力を引き出していく。

今後は、落札された木材から生まれた作品を紹介するコミュニティギャラリーの設置やデザイナーとのコラボレーション企画など、単なる売買だけに留まらない、つくり手と木材の創造的な場の構築を目指す。