抗がん剤による脱毛を抑える
ヘルメット型の医療デバイス「Lily」

ウェアラブルデバイス「Lily」 Photography by Handover

がん治療では、がん細胞の増殖を抑える有効な方法として、抗がん剤が広く使用されている。その治療効果は十分に認められている一方で、副作用が出ることもよく知られている。なかでも、がん患者を悩ませるもののひとつが頭髪の脱毛である。

こうした脱毛を抑え、がん治療の厳しい体験を緩和しようと、アイルランドの医療機器メーカー「Luminate Medical」が新たなウェアラブルデバイス「Lily」の開発に取り組んでいる。このデバイスはヘルメット型をしており、頭部に装着して加圧することで血流を促進。医療機関のみならず、在宅でも手軽に使用でき、脱毛の低減が期待できる。

Photography by Handover

デザインを手がけたのは、ロンドンのデザインオフォス BLOND。既存の医療デバイスをアップデートするとともに、辛い治療体験を少しでも和らげるため、使いやすいユーザーエクスペリエンス、目立たず親しみやすい見た目、快適な素材などを重視している。

Photography by Handover

BLONDは、治療中であることが一目でわかる従来のヘルスケア製品とは一線を画し、見た目や質感から安心感をもたらすデザインを採用。ホワイトとグレーのツートンカラーで重々しさを和らげ、肌触りの良い仕上げを施すなど、細部まで工夫が凝らされている。

Photography by Handover

さらに、インクルーシブデザインをコンセプトに掲げ、装着しやすいストラップの位置、内蔵型のタッチパネル、特注の表面の仕上げなどの使いやすさに配慮。軽量で柔らかな形状により、どんな頭の形にもフィットしてくれる。

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Luminate Medical共同創設者兼CEOのアーロン・ハノンは、「私たちは科学者であるものの、周囲の環境のなかにあるモノと感情的に接する専門家ではありません。そんなとき、私たちはBLONDに出会いました。同オフィスのデザインアプローチは、ユーザー中心設計という枠を超えて、日々の暮らしのなかで使われるモノとのつながり方に焦点を当てています」と語っている。End