建築テック「VUILD」がデザインする
福島ユナイテッドFCの循環型木造スタジアム

スタジアムイメージ

建築系スタートアップのVUILD(ヴィルド)は、プロスポーツクラブ経営会社「スポーツX」が運営するサッカークラブ「福島ユナイテッドFC」と共同で構想する福島県のホームスタジアムの計画案を公開した。

2002年に発足した同クラブは、2011年に東日本大震災を経験し、これまで地域の復興とともに歩んできた。今回はクラブのさらなる発展に向けて、新たなホームスタジアムの建設を構想。エンブレムにあしらわれた「不死鳥」の精神を体現する、希望と再生の象徴となるスタジアムを目指す。

スタジアムの席数は約5000席。2階建て住宅規模の「小断面」を一周させて全体を構成することで、コスト抑制と施工性の向上を図り、人の手で建設できる「ヒューマンスケールのスタジアム」を実現する。エントランスは4棟の境界部に配し、1階には更衣室、控室、トイレ、売店などを配置。メインスタンド側2階にはVIP席・実況席などの主要機能を設け、バックスタンド側にはホテル機能をもたせる。

木造の構造体は、福島県産の製材を積層して形成。「式年遷宮」から着想を得て、資源循環・地域参加・技術伝承といった「モノ・コト・ヒト」の循環を重視し、各部品は分解・再利用が可能なサステナブルかつリジェネラティブ(再生型)な建築となる。建築部材の製作過程には、クラブ関係者や地域住民が祭りのように参加できる仕組みを導入。植林や木工教育を通じて、次世代への技術継承も担う。

スタジアム図面

さらに、福島の盆地型気候を活かし、自然エネルギーを最大限に利用するパッシブデザインを採用。独特な屋根の形状により、夏は日射を遮り、冬は冷風を防ぐとともに、外壁の形状を変化させることで、夏は卓越風を取り込み、冬は風を遮断する。加えて、雨水を集水・再利用し、冬に蓄えた冷熱を夏の冷房に活用するなど、敷地内で生産した再生可能エネルギーを貯蔵し、エネルギーの自給自足を実現する。End

FEM解析で変形量を、年積算照度解析で芝生の生育環境を、CFD解析で風の効果を検証。

複数パラメーターの検討結果を元に、最適なモデルを選択。