京の美意識を器に
高松 伸とTALK LIVINGによる「洛」シリーズ発売

【舞】漆黒、朱 カップ&ソーサー。

空間プロデュースやオリジナルプロダクトの開発などを行うTALK LIVINGは、建築家・高松 伸とのコラボレーションにより、10月1日に京都を感じさせる器「洛(らく)」を発売した。「舞」「雅」の2シリーズ、全5アイテムを展開する。

高松は、これまでTALK LIVINGとともに家具シリーズを発表してきた。コラボレーション第2弾となる今回のテーマは「器」。

高松が挑んだのは、焼成時に崩れやすい繊細な造形の実現だった。高温でも形を保ちやすく、緻密なフォルムを再現できる有田の磁器を採用することで、その実現が可能となった。

「舞」シリーズは、漆黒には流れる金彩、朱には舞う花文様、瑠璃には凛とした藍の色合いをあしらったカップとソーサーを展開。曲線で構成されたフォルムが特徴で、造形の美しさを引き立てる。円を2点で支える独創的な構造が、優雅な曲線を生み、手に心地よく馴染む。

【舞】瑠璃 カップ&ソーサー。持ち手には強度を加え、日常使いにも適している。

「雅」シリーズは、真白な磁器に彩色と陰影のラインを重ね、十二単を想起させる重層的なデザイン。持ち手の一部に手作業で彩色を施し、細部まで丁寧に仕上げられている。

【雅】十二単 カップ&ソーサー。彩色部分はわずかに凹み、光の陰影が曲線に沿って流れる。

【雅】白絹 カップ&ソーサー。白磁のフォルムは折り紙のようなラインの陰影が立体感を生み出す。

かつてアリストテレスは「地・水・火・風」の四元素に加え、人間の感覚では捉えきれない第五の元素「エーテル」が宇宙を満たすと説いた。高松はこの概念を引き合いに、「京都には『エーテル』が存在し、それが京都を京都たらしめている」と語る。応仁の乱以降に紡がれた都としての歴史、雅やかさ、空気感といった京都らしさを、器という形に託そうとした。End