静岡の伝統工芸ブランド「hounobi -褒の美-」が始動
駿河竹千筋細工の照明や花器など5点を発表

静岡市の伝統工芸を体験できる施設「駿府の工房 匠宿」を中心に、職人とデザイナーが協働するプロダクトブランド「hounobi -褒の美-」が誕生した。里山の風景が残るその周辺エリア「匠宿クラフトバレー」を拠点に、伝統工芸の新たな可能性を探っている。

「駿府の工房 匠宿」は、今川・徳川時代から受け継がれる駿河竹千筋細工・和染・木工・漆・陶芸など、静岡市の伝統工芸を体験できる施設。歌川広重の『東海道五十三次』にも描かれた宿場町・丸子に位置し、県内外や海外から多くの来訪者を迎えている。

ブランドの第1弾として、静岡を代表する伝統工芸・駿河竹千筋細工を用いたプロダクト群を発表。デザイナーの五十嵐久枝と職人・大村俊一が手がけたポータブル照明「千空」は、2025年度グッドデザイン賞を受賞した。竹ひごが連なり、光と影が織りなす静謐な明かりを生み出す。五十嵐は「花器や菓子器として親しまれてきた駿河竹千筋細工を、『入れもの』から光の入れもの『ランプスタンド』へと変容をこころみました」とコメント。

「千空」五十嵐久枝

そのほか、竹を裏曲げして造形した一輪挿し・アロマディフューザー「リネア」(石上諒一)、伝統の規則性をあえて崩した花瓶「イレギュラー」(花澤啓太)、竹の線を自在に動かす「セントエン」(大畑友則)、ガラスを用いた菓子器「カラ」(松田優)など、多様なアプローチから駿河竹千筋細工の新たな表現を探っている。

「リネア」石上諒一

「イレギュラー」花澤啓太

「hounobi」という名は、民芸運動の「用の美」に対し、手仕事が人に感動や喜びを与える価値を探る意味で名付けられた。

「セントエン」大畑友則

「カラ」松田優

製品の発売と受賞を記念した展示会「褒の美 展」が、11月7日(金)から12月7日(日)まで「駿府の工房 匠宿」内の伝統工芸館にて開催中。End

褒の美 展

会期
11月7日(金)~12月7日(日)月曜休館(月曜祝日は営業、翌平日休館)10:00~19:00
会場
駿府の工房 匠宿内 匠宿伝統工芸館
(静岡県静岡市駿河区丸子3240-1)
入場料
無料