NEWS | プロダクト / 展覧会
2025.11.21 15:21

大阪を拠点とし、オランダ・Design Academy Eindhoven卒というキャリアをもつプロダクトデザイナー、吉行良平の個展「SET STACK JOINT」が11月14日から29日まで東京・渋谷のギャラリー「(PLACE) by method」で開催中。自身の設計哲学“Form find(形を探す)”を核として、素材・構造・色・形の関係性を深く問い直すプロセスが、集約されている。

SSJスツール。オーク材を使用したスツール。パーツはすべて無垢材で構成され、少ない材料から効率よく部材を取れる設計になっている。それぞれのパーツは、無垢材の反りや割れを軽減するため、木繊維方向かさねるように、分け積み上げるように組み合わせ構成されており、シンプルなフォルムそのものがつくられ方からうまれている。名前の「SSJ」は、今回の展示タイトル “SET STACK JOINT” の頭文字を取ったもの。制作は大阪の家具製造iei studioが担当。
タイトルの「SET STACK JOINT」は、グラフィックデザインを担当する海野貴大が、吉行の制作ノートに散りばめられた言葉を拾い上げて並べたフレーズだ。素材の組み合わせや構造、プロセスの積層といった、吉行のデザイン思考を象徴している。
今回展示される家具、日用品、オブジェの数々は、2024年に福井県のataW(アタウ)にて開催された個展をアップデートしたもの。今回も、企画を手がける関坂達弘(SEKISAKA/ataW)がディレクションのほか、吉行が制作したプロダクトの塗装も担当している。
関坂は、吉行のデザインについてこのように語っている。「どのプロジェクトも、試行検証を繰り返すことで、あるべきフォルム(構造、色、形)を探ることを意識し設計されている。吉行のデザインからは、決して派手ではないが、プロセスやストーリーが先行しすぎず寡黙で静かな強度を感じることができる」。

SEKISAKA と協働で行う紙箱に塗装を施す独自プロジェクト「box」。塗装によって強度が増し、汚れなども拭き取れ、長く使うことができる。カトラリーやにんにくなどの食材、文房具など、小物入れとして幅広い用途に対応する。小口の見え方など、紙箱だからこその構造造形をもつ。
会場には、各地の職人との協働によって制作されるプロダクトのほか、新作のバターナイフや試作段階のオブジェクト、DESIGNEAST2025に向けて設計された家具などが並び、販売も行っている。家具やプロダクトデザインを日常の風景として捉え直す契機として、“構造と色と形”が織りなす静かな対話を体験したい。![]()

「Butter」。従来は静止しているものをスキャンする3Dスキャナーに対し、「動いているものをスキャンしたらどうなるか」という疑問をきっかけに制作したバターナイフ。バターそのものを削り、長い時間をかけて溶けていく様子を、京都拠点のデザインファーム集団NEW DOMAINとともに、3Dスキャンし、原型を制作。素材には、制作の佐賀県嬉野市の 224porcelain が開発した、環境に優しく強度のある土「晟土(せいど)」を使用。
吉行良平「SET STACK JOINT」
- 会期
- 2025年11月14日(金)~11月29日(土)
- 会場
- (PLACE) by method
(東京都渋谷区東1-3-1 カミニート#14) - 詳細
- https://placebymethod.com/












