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18秒前

サーキュラーエコノミーを加速させる建築モジュールを開発するXENCE(ゼンス)が、未利用木材を主要構造材とした「サーキュラー木造温室」の一般販売を開始した。三重県志摩市での実証導入を経て、農業・観光・教育など幅広い用途に向けて全国展開を目指す。建設段階でカーボンネガティブを実現する点が最大の特徴だ。

本温室は、地域の製材所で発生する大径材、丸太半割り、CLT端材など、従来廃棄または低価格で扱われてきた未利用木材を活用する。基礎や接合部を含むライフサイクルアセスメント(LCA)により、建設段階でカーボンネガティブを実現し、使用後は100%素材回収・再利用が可能だ。

構造は幅5m・6m・7.2mの標準モジュールを基盤に、用途に応じて長さを拡張できる。外装はビニール、ポリカーボネート、ETFEから選択可能で、景観に合わせた設計ができる。木造の断熱性・調湿性・耐塩害性を活かしつつ、採光や強度、価格は鋼製温室と同等。自然換気や雨水循環システムの統合により、運用面での省エネルギー効果も期待される。

XENCEが目指すのは、温室を単なる生産施設ではなく、地域資源を循環させる社会インフラへと再定義することだ。農業生産のほか、観光施設、大学の研究拠点、公共施設のコミュニティ拠点、宿泊施設など多様な用途に対応する。

代表の小澤巧太郎は「建築をつくる行為そのものが、地域の資源と経済を育てる行為に変わる、新しい一歩になると信じています」と語る。XENCEは2026年に国内10地域への展開を掲げ、オランダやデンマークなど欧州展開も視野に入れている。![]()












