Maxim Kashin Architects、
金物メーカーのHettichと協働し家具アート作品「Suprematist Bureau」を発表

Photo by Dmitry Chebanenko

ロシア・モスクワを拠点に活動するMaxim Kashin Architects(マキシム・カシン・アーキテクツ)は、ドイツの家具金物メーカーのHettich(ヘティヒ)と協働し、家具アート作品「Suprematist Bureau」を発表した。これはヘティヒ製品の可能性を視覚的に示すために制作されたプロトタイプで、20世紀初頭のロシア・アヴァンギャルド運動「シュプレマティスム(絶対主義)」の原理を、現代の機能性と結びつけた作品である。

Photo by Dmitry Chebanenko

デザインの出発点は、シュプレマティスムにおける純粋幾何学の探求にある。設計を手がけたマキシム・カシンは、1920年代のバウハウスとロシアのヴフテマスにおける機能主義思想の接点に着目した。「ドイツのバウハウスの合理主義と、ソビエトのヴフテマスが追求した幾何学とシュプレマティスムの関係性を示したかった」とカシンは説明する。

Photo by Dmitry Chebanenko

カシンの実践は、カジミール・マレーヴィチが提唱した平面的なシュプレマティスムを立体的な「アルヒテクトン」へと発展させた思想の延長線上にある。マレーヴィチの構想は当時のソビエト社会で実現されることなく終わったが、カシンはその可能性をインテリアデザインに応用することを試みている。「100年以上が経った今、シュプレマティスムがさまざまなデザイン領域でどう展開できるかを示したい」と語る。

本作では、ヘティヒ製の7種類の金物の動きを起点に、正方形を基本要素としながら、水平・垂直方向の動きによって形態が変化する構造を構想した。FurnSpinピボット機構により可動性を実現し、引き出しやヒンジも同社製品を組み合わせた。金物は視覚的にはほぼ見えず、構造の造形性を際立たせる設計となっている。

Photo by Dmitry Chebanenko

本体はウォールナットのベニア材で構成され、一部の引き出しには鮮やかな赤を施し、ロシア・アヴァンギャルドの時代を想起させる。また、照明を組み込んだ引き出しもあり、実用性にも配慮している。

Photo by Dmitry Chebanenko

本作はロシア国内の展示会で公開されており、今後第二弾の制作も予定されている。いずれもヘティヒのドイツ本社にある博物館に収蔵される予定だ。End