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2026.01.21 10:37

Photo by MKasper Løftgaard
快楽主義的な持続可能性が、 世の中の複雑な矛盾を整合させ、 優れた解決策を提示する。
世界で最も注目されている建築家のひとりであり、デンマークを代表する人物でもあるビャルケ・インゲルス。彼が率いるビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)は、ニューヨークや上海など世界9カ所に事務所を構え、総勢700人が働くという。2023年に建設された本社屋はコペンハーゲン湾の一角にあり、インタビュー中、大きな窓からはゆったりと航行する大型クルーズ船が見えた。
コミックス作家志望から建築家に転向
──子どもの頃、コミックス作家になりたかったと聞いていますが、それがどのようにして建築につながったのでしょうか。
コペンハーゲン中心部から北、ルイジアナ美術館へと続く大通りにある小さな家で育った私は、とにかく、絵を描くのが大好きな少年でした。大友克洋の『AKIRA(アキラ)』や、フランク・ミラーの『バットマン:ダークナイト・リターンズ』といったSF系の作品が好きでしたが、当時のデンマークで日本の漫画は入手困難だったので、もっぱら読んでいたのはフランスやベルギー、イタリア、アメリカのコミックスでした。
SF小説家のフィリップ・K・ディックは、「SFは未来を舞台にすることが多いとはいえ、未来の物語ではない。宇宙を舞台にすることが多いとはいえ、スペースオペラでもない。SFは何らかの発明や革新によって筋が生まれる物語だ」と語っています。
SFでは技術的な発明ばかりが目立ちますが、なかには、文化的、社会的、環境的な発明も存在します。物語全体でひとつの発明がもたらす連鎖的な影響を探求していくのです。つまり、SFは読者が知っている世界を描きながら、ひとつの事実の変化によって、ほかのあらゆることに影響が及んでいく様を描いている。作者と読者は、その結果を推測していくことになります。
この過程は、非常に建築に似ています。私たちはプロジェクトを始めるたびに、その場所に美術館や学校などを建てることで何が変わっていくのかを検討します。その変化がどのような結果をもたらす可能性があるかを探るなかで、変化を形にしていくことができるのです。












