整合性と非合理性を両立させる
小関隆一の「デコンストラクテッド・ミニマリズム」

東京を拠点とするプロダクトデザイナー 小関隆一は、2025年4月に開催されたミラノデザインウィーク2025の期間中、デザインプラットフォーム ALCOVAに出展。「デコンストラクテッド・ミニマリズム(Deconstructed Minimalism)」と題するインスタレーションを発表した。

小関はデザインについて、「整合性と非合理性を両立させる思考」や「既存の価値観に対して別の切り口を提示する回答」といった視点で思索を深めている。それはまた、「ミニマリズムの基本を尊重しつつも、その境界を踏み越えようとする好奇心」や「子ども時代に遊んだ紙細工の粗っぽさや自由を取り戻したいという願い」といった考え方にも通じる。

こうした思索をより深化させようと、小関は「デコンストラクテッド・ミニマリズム」というキーワードを考案。今回の展示では、既成の概念を見直し、ミニマリズムの定義そのものを再考・拡張するため、チェア、スツール、照明からなるコレクションを制作した。

「Frame Structured Low Chair」/「Frame Structured Armchair」

「Frame Structured Low Chair」と「Frame Structured Armchair」は、ウォールナットの木材と板材でできたチェア。一見すると不安定な構造にも見えるが、中央のフレームが各部材をしっかりと支えている。必要最低限の木材を使用した直線的なデザインは、ミニマリズムの典型だと言えるだろう。その一方で、オランダの建築家 ヘリット・リートフェルトの作品にも似たダイナミックな構成を実現しており、「ミニマルとは何か」を考えさせるチェアに仕上げている。

「Wall Structured Stacking Stool」

「Wall Structured Stacking Stool」は、現代のデザインにおける要素と機能の適切な距離感を探る試みから生まれた。四角錐を途中で切り取ったような形状をしており、どこか頼りない印象を与える。しかし、斜めに配置されたウォールナットの板材は、互いにしっかりと組み合い、安定感を確保している。

「2 Eaves Overhanging Lamp」/「4 Eaves Overhanging Lamp」

また、「2 Eaves Overhanging Lamp」と「4 Eaves Overhanging Lamp」は、ウォールナット材による直方体のベースに、「軒」のようなアルミニウム製のシェードを配したテーブルランプ。このシェードは、光源と周囲の空間を隔てる境界として機能する。照明器具としての効率性や機能性を追求するのではなく、そのシンプルな構造を通じて光を調節しようとする試みである。End