NEWS | プロダクト
7時間前
「SYMBIOSIS GARDEN」
デザイナー 渡辺 祐は、京都の漆職人および長野の菌糸体プロダクト製造会社と協力し、手工芸と量産化の境界を探求した新作の花瓶コレクション「SYMBIOSIS GARDEN」をサローネサテリテ2025にて発表した。
漆は、木から採取される天然樹脂である。独特の艶や光沢感に加え、耐水性や耐熱性を兼ね備え、さらには生分解性も有していることから、サステナブルな素材として注目されている。しかし現代においては、プラスチック製品の多用や生活様式の変化により、日本の伝統工芸は衰退傾向にあり、漆職人の数も減少の一途をたどっている。
一方、菌糸体は、地上に生えるキノコに対して、土壌や木材のなかで植物の根のように広がる白い糸状の組織体。その起源は10億年以上も前にさかのぼり、植物をはじめとした生物と共生しながら、生態系のネットワークを形成してきた。
今回の展示では、日本の伝統工芸である漆とバイオマテリアルである菌糸を組み合わせて花瓶を制作。両者の融合により、サステナビリティを追求すると同時に、自然との共生や自然と文化の関係性といった、日常生活における自然とのつながりを実感するデザインを目指した。
さらに、「ひとつの花のなかに宇宙を見出し、器の上に自然を表現する」という日本の生け花の哲学をもとに、漆芸の技術のひとつである粉蒔や、異なる種類の漆を使い分けにより、土や木、岩のような見た目を表現。菌糸体に特有の複雑な表面のテクスチャを活かしながら、漆のもつ光沢感や硬さ、深みのある色を施すことで、植物とともにある暮らしを提案している。