陶芸と絵画の新たな出会いを紹介する
「ピクチャレスク陶芸」展が開催

東京のパナソニック汐留美術館は、近現代の陶芸をテーマとした企画展「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの-『民藝』から現代まで」を、2025年7月12日(土)から9月15日(月・祝)まで開催する。

多くの陶芸作品では、釉薬や顔料を重ねることで表れる光沢や発色など、やきもの特有の豊かな色調や質感が表現されている。その一方で、筆致や彩色、主題の選択といった、油彩や素描などの異分野の表現との関連性を見出すこともできる。

同展では、色やかたちやモチーフを起点として、ときにはジャンルを横断しながら、陶芸に挑む作者の思考や芸術観に迫る。個人作家として創作的な陶芸の礎を築いたとされる富本憲吉やバーナード・リーチから、民藝運動を推進した河井寬次郎や濱田庄司、伝統的な技術の革新をもたらした陶芸家、前衛陶芸の旗手、茶陶の名手、イギリスやデンマークの作家、1960年代から1980年代生まれのアーティストまで、約50名の作家・総計約120作品を8章構成で展示する。

北大路魯山人 《織部俎板盤》 1949年、陶器、京都国立近代美術館

河井寛次郎 《三色打薬貼文扁壺》 1960年代、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄

加守田章二 《彩色角壺》 1972年、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄

アクセル・サルト 《花器》 1946年、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄

ルーシー・リー 《溶岩釉スパイラル文花瓶》 1978年頃、陶器、茨城県陶芸美術館

松田百合子 《西瓜水瓶(フリーダ・カロへのオマージュシリーズ)》 1996年、磁器、岐阜県現代陶芸美術館

増子博子 《移ろう景色皆川マスの絵付けより》 2020年、陶器・手紙・ガラスケース、個人蔵 撮影:吉田健太郎

タイトルにある「ピクチャレスク」とは、「絵画的な」「絵画のように美しい」といった意味をもつ美術用語である。18世紀イギリスでは、庭園や景観の美を示す言葉として用いられ、建築や造形の分野においては、新時代の美意識を導いた概念とされている。

こうした言葉の広がりに合わせて、絵付けされた陶器にとどまらず、平面と立体がダイナミックに融合した形態や、メディアを越境して表現を更新していくような造形のあり方にも注目する。End

ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの-「民藝」から現代まで

会期
2025年7月12日(土)〜 9月15日(月・祝)
開館時間
10:00~18:00(入館は17:30まで)
※8月1日(金)、8月29日(金)、9月12日(金)、9月13日(土)は20:00まで開館(入館は19:30まで)
休館日
水曜日(ただし9月10日は開館)、8月12日(火)~8月15日(金)
会場
パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
詳細
https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/25/250712/