NEWS | 建築
2025.07.25 10:30
裏側ファサード復元後 © Claudia Mauriño
スペインの建築家 アントニ・ガウディ(1852-1926)がバルセロナで手がけた建築「カサ・バトリョ」は、このほど修復期間を終え、100年以上ぶりに本来の姿を一般に公開した。
裏側ファサード復元前 © David Cardelús
同建築は、ガウディに建築を教えた建築家 エミリオ・サラ・コルテスによって1877年に建てられた。そののち、繊維業を営む実業家 ジョゼップ・バトリョがこの建物を購入し、同氏の依頼を受けたガウディが1904年から1906年にかけて全面的な改築に取り組んだ。ガウディは、ファサードを大胆に装飾。内部の間仕切りを再配置し、光井戸を拡張するなど、建物全体を芸術作品にまで高めている。
今回は、「裏側ファサード」や「プライベート・パティオ」などを修復。職人、建築家、保存の専門家らの協力のもと、最新技術と伝統技法を融合させながら、木工・ガラス・鍛鉄・陶器・漆喰といった素材を用いて細やかに再生した。
トレンカディス修復の様子 © Casa Batlló
トレンカディス復元後 © Claudia Mauriño
手すり修復の様子 © Óscar Rodbag
手すり修復後 © Pere Vives
復元前には色や状態の変化により目立たない存在となっていた裏側ファサードは、木製の窓枠、鉄製の手すり、セラミックのトレンカディス(破砕モザイク)などの装飾を修復し、1906年当時の色彩やディテールが蘇った。さらに、修復の過程でバルコニーを支える螺旋状の鉄骨入りアーチ構造も見つかり、ガウディの建築思想の先進性を裏づける貴重な発見となった。
オリジナルのペルゴラ © Archive Marimón Batlló Family
プライベートパティオ修復後 © Claudia Mauriño
ペルゴラ修復後 © Claudia Mauriño
一方、バトリョ家の憩いの場であったプライベート・パティオは、残された資料と3Dスキャンに基づいて、消失していた藤棚(パラボラ形のぺルゴラ)や植木鉢(ジャルディネラ)を精巧に再現。85,000枚を超えるノリャ製モザイクタイルの床面も、往時を偲ばせる姿に復元されている。