展覧会「プロジェッティスタ城谷耕生
イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」開催

ながさきピース文化祭2025の一環として、「プロジェッティスタ城谷耕生-イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」が、長崎県雲仙市各所で、2025年9月14日(日)から11月2日(日)まで開かれる。

雲仙市小浜町生まれの城谷耕生(しろたに・こうせい、1968-2020)は、1991年にイタリアに渡り、ミラノに長く滞在。アキッレ・カスティリオーニやエンツォ・マーリらイタリアンデザインの巨匠たちと触れるなかで、第二次大戦後に同国で始まった「プロジェッタツィオーネ」と呼ばれるデザインの態度や方法論を身につけたという。2002年に帰国し、その後は小浜町にSTUDIO SHIROTANIを構え、地域に根ざした創作活動を展開した。

プロジェッタツィオーネは、現代の商業主義的なデザインとは一線を画すもので、社会性や倫理性を重視し、企業の利益よりも共同体のための創造や教育の実現を目指す思想だ。城谷もこの精神を受け継ぎ、九州各地の伝統工芸の職人たちとの共同作業や、小浜・刈水地区の地域づくりなどに尽力し、数々の貴重な仕事を残している。

ショップ・喫茶「刈水庵」(2013〜)。過疎化の進む刈水地区をリサーチし、エコヴィレッジ構想を立ち上げた城谷は、元大工の棟梁の屋敷を改装してショップと喫茶スペースを、その隣には自らのスタジオも設けるといった具合に刈水に拠点を構えた。城谷の逝去後もそのままのかたちで運営される、小浜のデザイン拠点だ。Photo by Yayoi Arimoto

今回の展覧会は、2024年に東京ミッドタウン・デザインハブで開催された企画展「PROGETTAZIONE(プロジェッタツィオーネ)イタリアから日本へ 明日を耕す控えめな創造力」を引き継ぎ、城谷の地元を舞台に、その活動と作品を深く掘り下げる。成果物としての製品はもちろんのこと、完成に至るまでのプロセスに着目し、職人や職工といったつくり手たちの創造力をいかにして引き出していったのか、教育者としての側面にも焦点を当てている。

メイン会場は、シロタニ木工のショールーム「KO-SHA」。さらに、同会場の近く、海に面した場所にある、城谷の元スタジオをかつて使用していたままの状態で公開するほか、同氏が小浜町刈水地区に2013年に開店したショップ兼カフェ「刈水庵」とその向かいのギャラリースペースでも展示する。全国から多彩なゲストを迎えたトークイベントも行われる予定だ。End

城谷耕生/1968年長崎県雲仙市小浜町生まれ。1991年イタリアに渡り、エンツォ・マーリらイタリアンデザインの巨匠たちと密接に協働する機会を得る。2002年帰国。雲仙市小浜町にSTUDIO SHIROTANIを開設。唐津、小石原、波佐見、別府など九州の伝統工芸の産地の職人たちの創造力の活性化に尽力した。Photo by Yayoi Arimoto

プロジェッティスタ城谷耕生
イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡

会期
2025年9月14日(日)~11月2日(日)
※ただし、土・日・祝のみ開場。
時間
11:00~17:00
入場料
無料
会場
KO-SHA(長崎県雲仙市小浜町北野739 シロタニ木工敷地内)
元Studio Shirotani(長崎県雲仙市小浜町北野739 シロタニ木工敷地奥)
刈水庵(長崎県雲仙市小浜町北本町1011)
詳細
https://bunkasai2025.nagasaki-tabinet.com/events/3079/

トークイベント

【城谷耕生の実践と夢の彼方】

日時
2025年9月14日(日) 13:30〜17:30
登壇者
原田祐馬(UMA/design farm)、山藤旅聞(新渡戸文化中学校・高等学校)、 今井浩恵(SHIRO)、堀田新五郎(翠山大学設立準備会)、吉田田タカシ(アトリエe.f.t.)ほか
会場
小浜公会堂

【伝統って何だろう?】

日時
2025年10月12日(日) 17:30〜19:30
登壇者
池田美奈子(編集者)、多木陽介(批評家)、田代かおる(ライター)、山﨑超崇(目白工作) ほか
会場
小浜公会堂

【小浜/刈水の未来】

日時
2025年11月2日(日) 15:00〜17:00
登壇者
坂本大祐(オフィスキャンプ)、古庄悠泰(景色デザイン室) ほか
会場
小浜公会堂
参加方法
https://peatix.com/user/27232264/view (予約制)