固定概念や価値観を解きほぐす――写真家・松岡一哲 個展
「もっと深くて鋭くて、危なくて、たまらなく美しいやつ。 普通じゃないもの。」

松岡一哲「bird」、2025年、Cプリント © Ittetsu Matsuoka

東京を拠点に活動する写真家・松岡一哲(まつおか・いってつ)の展覧会「もっと深くて鋭くて、危なくて、たまらなく美しいやつ。 普通じゃないもの。」が東京・六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて2025年9月6日(土)から10月11日(土)まで開催される。

松岡は、スナップショットで撮影された「私写真」という作風で知られている。フィルムカメラ「オリンパス μ(ミュー)」を長年愛用し、旅先で出会った風景、身近な人々、光漏れにより偶然写り込んだ抽象的なイメージなど、淡い色調をまとい、独特の浮遊感を漂わせる作品群を披露してきた。今回の個展では、今年撮影した作品を中心に、これまで一貫して提示してきた写真観をさらに色濃く反映させた約30点を発表する。

写真は、一瞬を精確に写し取る力をもつ。だが、その力はときに他者を傷つけてしまう危うさも併せ持っている。同氏は、被写体のブレやピントの甘さ、意図しない露光、さらには現場で起こる予期せぬ出来事までも積極的に取り入れながら撮影を行う。そうして生まれた写真は、輪郭を柔らかく保ち、何かを断定するのではなく、そっとすくい上げるように世界の一部を見た人にやさしく手渡す。

松岡一哲「Okinawa」、2025年、Cプリント © Ittetsu Matsuoka

同展では、脚光を浴びるものとそうでないものを分け隔てなく肯定する松岡の眼差しを通じて、形づくられた価値観や固定観念を解きほぐし、人や風景がもつ未知の様相を提示する。普段は見過ごされてしまう場所や、これまで切り取られることのなかった部分にも美しさが宿ることを気づかせてくれるだろう。End

松岡一哲 個展「もっと深くて鋭くて、危なくて、たまらなく美しいやつ。 普通じゃないもの。」

会期
2025年9月6日(土)~10月11日(土)
営業時間
12:00~19:00
定休日
日・月・祝祭日
会場
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
(東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F)
詳細
https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/35041/