“包む”というデザイン思想の豊かさを示す
松屋銀座100周年記念展「Tsu-tsu-mu展」

松屋銀座の開店100周年を記念する特別企画の一環として、戦後の日本デザイン界を牽引したデザイナーや建築家、評論家らによって設立され、松屋銀座を拠点にデザインを啓蒙する日本デザインコミッティーによる約6年ぶりの企画展「Tsu-tsu-mu展 世界をやさしく繋ぐデザインの作法」が2025年10月13日(月・祝)まで、松屋銀座8階イベントスクエアで開催中。

本展のテーマは「包む(Tsu-tsu-mu)」。単なる包装技術やパッケージデザインの紹介にとどまらず、卵、おにぎりなどの食品や日常の風景、伝統的な折形、現代プロダクト、建築まで、さまざまな事象に潜む「包む」という概念を多角的に問い直す。

会場イメージ

本展では設定された7つのテーマによる約90点の作品・事例を通じ、「包む」ことの本質と新たな可能性を探る。会場構成・アートディレクションは、グラフィックデザイナーで日本デザインコミッティーメンバーでもある色部義昭が手がけている。

出品作のひとつである隈 研吾による浮遊茶室「浮庵」は、ヘリウムガスを用いて空中に浮かび、布のドレープが「包む」感覚を空間で表現する作品。建築と包む行為の交差点に立つ、詩的で軽やかな試みだ。

「浮庵」©Kengo Kuma& Associates

開催期間中にオープンする小泉 誠が空間設計を担当したオフィシャルブックカフェ「Tsu-tsu-mu Café by OGAKI BOOKSTORE」では、マルニ木工の椅子や能作、菅原工芸硝子の器などが並ぶ。また「包む」をテーマにした塩川いづみ監修のどら焼き(焼印入り)も販売され、「包む」というテーマが五感にわたって体験できる場となる。さらに、期間中には、折形デザイン研究所によるワークショップも開催。「包む」技法や歴史、折形の思想に触れながら、実際に書籍の包み方を学ぶ機会も設けられる。

本展が問いかけるのは、対象をやさしく守る「包む」という単純な行為の裏にあるケアの視点であり、内外をつなぐ思考と関係性だ。展示を巡りながら、自分なりの「包む」行為を考えてみてはいかがだろう。End

「Tsu-tsu-mu展 世界をやさしく繋ぐデザインの作法」 

会期
2025年9月26日(金)~10月13日(祝・月) 11:00~20:00 
*最終日は17:00閉場・入場は閉場の30分前まで
*営業日・営業時間の詳細は松屋ウェブサイトを確認
会場
松屋銀座8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1)
入場料
一般 2,000 円(1,800 円)、高校生 1,500 円(1,300 円)、小中学生 1,000 円(800 円)税込
*()内は前売り料金
詳細
https://designcommittee.jp/event/2025/08/tsutsumu_ten-html.html