Everyday Practice
グラフィックデザインに作用する倫理

自動化や美観を重視したソリューションが主流となる時代において、ソウルを拠点に活動するデザイン会社「Everyday Practice」は、独自のデザイン哲学によりグラフィック制作に取り組む。大学のタイポグラフィクラブで出会ったクォン・ジュノ、キム・ギョンチョル、キム・オジンが設立した同社は、グラフィックを単なる視覚的なスタイリングではなく、社会参画や倫理的考察、そして日常生活における実践の手段とみなす。抗議ポスターやインタラクティブインスタレーションから、デザイン業界の内部改革まで、彼らは、悪しき慣習に挑む一方、社会をかたちづくるうえでのデザイナーの役割を再確認する。

人間中心のデザイン原則

3人の出会いから物語は始まる。大学で視覚コミュニケーションを専攻し、タイポグラフィクラブで活動していた彼らは、スタイルや興味関心の違いはあれど、市民問題への関心を共有し、結束していた。卒業後、キム・ギョンチョルとキム・オジンはそれぞれ就職した後にHandprintを共同設立した。またクォン・ジュノは、ジョナサン・バーンブルックのような社会政治的メッセージが込められた実験的な作風に惹かれ、ロンドンで視覚コミュニケーションを学んだ。2013年、彼らは再会し、相互の強みを生かせる場としてEveryday Practiceを設立した。

活動の基本方針は「日常生活を改善する持続可能な実践をいかに維持するか」という問いだ。社会・政治・文化が交錯する日常と自分たちの仕事の関係に着目し、デザインを世界と能動的に関わる手段として位置付けた。この信条はスタジオのアイデンティティに深く刻まれ、成長と発展を導きながら、デザイナーの本質的な義務と責任を想起させる。流行よりも職人技と人間味を尊重することで、運営を確立し、作品が継続的に価値を持ち続けることを目指す。