木工作家・高橋主馬の個展「Growing Curves」が、東京・中目黒のギャラリー兼ショップHIKEにて12月14日（日）まで開催されている。普段手がける器サイズの作品に加え、今回は家具スケールの新作も展示。日常の道具としての器から、空間を構成する存在へと、木の表現が拡張している。

長野・軽井沢の森を拠点に、多種多様な樹種を用いた一点ものの木工作品を制作してきた高橋。旋盤による均整のとれたフォルムと、手彫りによるわずかな「ゆらぎ」が調和する造形は、木が育んできた記憶や時間の痕跡とそれらが持つ温もりを静かに浮かび上がらせる。使用する素材も、樹種や個体差をあえて選り分けず、木の個性そのものから作品のイメージを立ち上げていくという。

今回出展する作品について高橋は「夏の終わりから秋にかけて制作したので、きのこ狩りの影響を感じさせる作品が多い気がします」と語る。木に刻まれた記憶と、作家の感性が呼応して生まれた作品の数々を、本展でじっくりと受け止めたい。