NEWS | グラフィック / ファッション
2025.12.22 11:11

書体デザインとテクノロジーのグローバルリーダーであるMonotypeは、2026年のPantoneカラー・オブ・ザ・イヤー「PANTONE 11-4201 Cloud Dancer」に合わせた初のタイポグラフィ表現として、書体「Jensen Arabique」を選定した。
「Cloud Dancer」は、シンプルさや休息、静けさへの欲求を象徴する淡いトーンのカラー。その穏やかな性質に呼応するかたちで選ばれた「Jensen Arabique」は、1933年にGustav Jensenが制作した希少なアルファベットサンプルをもとに、タイプデザイナーのJason Castleが1990年代にデザイン・デジタル化した書体である。手書きの質感を感じさせる上品で可読性の高いフォルムが特徴で、色の持つ静謐な印象を文字のかたちとして引き立てる。

本書体の選定を手がけたのは、Monotypeのシニア・エグゼクティブ・クリエイティブ・タイプ・ディレクターであるCharles Nix。タイポグラフィの歴史的文脈や文化的参照点に加え、WhatTheFontやMonotype AI検索ツールといった検索・発見テクノロジーも活用しながら検討を重ねた。同氏は、色と文字の関係性を「創造的な共感覚」と表現し、「一つの感覚が別の感覚を引き起こすこと」と説明している。

12月4日にニューヨークで行われたPantoneカラー・オブ・ザ・イヤー発表イベントでは、「Jensen Arabique」を用いたネオンアートが展示され、色と文字が生み出す没入的な体験を表現。これは、MonotypeとPantoneのパートナーシップが、色彩とタイポグラフィの関係性をより立体的に捉え直す試みであることを象徴した。

デジタル環境においてフォント選択の重要性が高まるなか、今回の取り組みは、デザインにおけるキュレーションや実験、そしてAIを活用した発見プロセスの可能性を示すものでもある。色は文字を必要とし、文字は色を必要とする。その相互作用の先にある新たな表現の可能性が、2026年に向けて提示された。![]()












