ひとつのピースから|野見山 桜
#7 Cherry(1946)マリー・グドメ・レト

この連載では、デザイン史の研究をしている著者が独自の視点で選んだ過去のデザイン作品(ピース)を起点に、さまざまなエピソードを綴っていく。デザイン史をジグソーパズルに例えるならば、ここで紹介する事柄は、どこにはまるかはまだわからない1ピース。それらを組み合わせていけば、まだ見ぬデザイン史のイメージを浮き上がらせることができるはずだ。

北欧のテキスタイルでプリント生地といえばフィンランドのメーカー、マリメッコが有名だが、実はデンマークにも脈々と続くプリントテキスタイル(捺染)の文化がある。その歴史を築いた作家と、現代の作家に焦点をあてた展示「THE POWER OF PRINT」が、デザインミュージアム・デンマークで2026年1月4日まで開催中だ。残念ながら展示を見ることは叶わないが、今号のデンマークデザイン特集に合わせて、同展で紹介されている先駆者のひとり、マリー・グドメ・レト(1895–1997)の「Cherry」という生地を起点にデンマークのテキスタイルプリンティングについて思いを巡らせたい。