XRが生む新たな体験

特集

XRが生む新たな体験

これまで「驚き」や「喜び」といった、人の感情を揺り動かすデザインの多くはオフラインを前提としてきました。しかし、人々の行動や接点が常時オンライン接続する環境が整うなか、デジタルテクノロジーを駆使したコミュニケーションや遠隔地にいながら複数人が同じ仮想空間で感覚を共有する体験デザインのあり方が模索されはじめています。
 こうした動きに拍車をかけるのが、AR(拡張現実)やMR(複合現実)など仮想世界と現実を融合したXR テクノロジーの台頭です。エンターテインメントはもちろん、教育、ヘルスケア、ビジネス、ライフスタイルなどさまざまな領域で、物理的な距離や時間、空間を超えた新たな体験がXR テクノロジーを活用して次々と創出されつつあります。
 本特集では、生活やビジネスなどさまざまなシーンに広がりはじめたXRテクノロジーを駆使した新感覚の体験デザインとそのリアリティについて考えます。

Vol.2112021年05月01日 発売
定価:1,800円
表紙:表紙写真:青木倫紀

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018

XRが描く現在、そして未来

一部の限られた人による限定された世界のつくりごとだったXR。それがCOVID-19というパンデミックを経て、現実の私たちの生活に大きな影響を及ぼしはじめている。その最前線をサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2021のオンライン会場を回遊しながら体感してみよう。

XRが描く現在、そして未来

024

知覚の扉を開け放つ共感覚体験装置「シナスタジアX1 - 2.44 〈Hazo〉」

共感覚や感覚複合体験の実験・研究を行うシナスタジアラボが、サウンドアーティストのevalaとともに開発した「シナスタジアX1 – 2.44 〈Hazo〉」。この体験型アート作品は、ふたつのスピーカーと44個の振動子が生み出す「音」「振動」、そして「光」によって、内宇宙の旅へ誘ってくれる。聴覚・触覚・視覚のありようは、通常とは異なるかたちにリミックスされ、体験者は未知の心象風景に感情を揺さぶられることになる。

知覚の扉を開け放つ共感覚体験装置「シナスタジアX1 - 2.44 〈Hazo〉」

030

常識や感覚を揺り動かすMRダンス、ライゾマティクス「border」

「border」 はパフォーマンスステージ内で、ダンサーと観客が参加して成立する、これまでに誰も見たことがないかたちのダンス作品だ。観客は、動きを完全制御されたパーソナルモビリティに座って体験する。borderの初演は2015年。それから6年が経過した今年、新たな鑑賞体験をともなって再演された。この斬新な構想はどう生まれたのだろうか。ライゾマティクスの真鍋大度と石橋 素に聞いた。

常識や感覚を揺り動かすMRダンス、ライゾマティクス「border」

036

ディエゴ・プリルスキーが語る、新しい扉を開けるデジタル空間

未来のインタラクティブメディアには何ができるのか? 元インテル・スタジオのジェネラルマネージャーのディエゴ・プリルスキーは、インタラクティブメディアと現実世界との境界がなくなると、そこにはクリエイションにとって広大な遊び場ができると予想する。

ディエゴ・プリルスキーが語る、新しい扉を開けるデジタル空間

040

カルチャーと人をつないで教育的役割を担う、グーグル・アーツ&カルチャー

創設10年を迎えるグーグル・アーツ&カルチャーは、これまで80を超える国の2,000以上のパートナーとともに、無数のアプリやオンライン上のエキシビションをつくり出してきた。これらすべては無料で提供されている。なかなか活動の全貌がつかめない彼らは、VR/ARをどう捉えているのか。ラボのヘッドを務めるローラン・ガヴォーに聞いた。

カルチャーと人をつないで教育的役割を担う、グーグル・アーツ&カルチャー

044

医療におけるVR/ARの可能性
スタンフォード大学ウォルター・グリーンリーフ博士に聞く

VRと言えば、バーチャル空間へ連れていって別世界の体験をさせてくれるツールと思われがちだが、そうした体験を通じて現実世界にいる人間を治癒したり刷新したりする効果も明らかになっている。医療におけるVR/ARの可能性だ。

医療におけるVR/ARの可能性<br/>スタンフォード大学ウォルター・グリーンリーフ博士に聞く

048

ソニーが切り開く、“ 超臨場”の音場体験

「臨場感」を超えた音楽体験。ソニーが世に送り出した「360 Reality Audio(サンロクマル リアリティオーディオ)」は、音場を3次元空間に立体的に構築し、従来は不可能だったリスニング体験を可能にする。音響工学の進化に新たな地平を提示するイマーシブなサウンド体験は、私たちにどのような感動をもたらすのか。

ソニーが切り開く、“ 超臨場”の音場体験

052

「触覚」によってつながるバーチャルとフィジカル

何もない空中に「触れる」感覚とはどのようなものか。英国のベンチャー企業、ウルトラリープが開発した「ストラトス」は、人の手の動きをトラッキングして認識しつつ、その手に超音波で3Dオブジェクトの形状を伝える。触覚を通じて感じられる、超音波がつくり出した「物体」は、フィジカルな存在なのか、はたまたバーチャルな体験に過ぎないのか。両者の境界線をなくす同社のハプティクス技術を取材した。

「触覚」によってつながるバーチャルとフィジカル

055

イスラエルのスタートアップ、ケムタイによるAI パーソナルフィットネスの未来

パーソナルトレーナーの有無が効果に大きく影響するフィットネス。イスラエルのスタートアップ、ケムタイのオンラインフィットネスサービスは、人間に代わってAIがトレーナー役を務めてくれる。肉体的な体験にAIが加わることによって、フィットネスはどうリデザインされるのか。

イスラエルのスタートアップ、ケムタイによるAI パーソナルフィットネスの未来

058

探究心を刺激して時空を超える、プライマル・ツーリズム

美しいビーチリゾートとして人気を誇る、フランス領ポリネシア諸島のボラボラ島。一方、「プライマル・ツーリズム」が誘うのは、地球温暖化によって水位が上がり、廃墟と化した近未来の仮想のボラボラ島だ。イマジネーション、テクノロジー、エコロジーを融合させた新たな旅の世界とは。

探究心を刺激して時空を超える、プライマル・ツーリズム

062

本物の価値をさらに高めるXR体験、8K文化財プロジェクト

東京国立博物館とNHK が、最先端の8K技術と3Dスキャナー、フォトグラメトリー技術を使って開発した「みんなの8K文化財(8K文化財プロジェクト)」が2021年3月に発表された。世界各国で進む博物館・美術館のコレクションのデジアルアーカイブ化とはまた違う、新たな文化財、美術品の鑑賞の仕方が提示されている。

本物の価値をさらに高めるXR体験、8K文化財プロジェクト

066

XR は人間拡張の夢を見るか?
藤井直敬(脳科学者)× 清水幹太(テクニカルディレクター)

フィジカルな身体感覚とバーチャルな情報空間。このふたつがシームレスに溶けあう環境で、ヒトの意識と肉体はテクノロジカルに拡張されていくだろう。脳科学の知見に基づき、その先にある「現実科学」の領域を切り開く藤井直敬と、テクニカルディレクターとしてデジタルクリエイティブを牽引する清水幹太に、XR技術がもたらす「新しいリアリティ」の未来を語ってもらった。

XR は人間拡張の夢を見るか?<br/>藤井直敬(脳科学者)× 清水幹太(テクニカルディレクター)

006

Close-Up

クラウド・クラウド

073

LEADERS

佐藤祐輔(新政酒造代表取締役)

078

Sci Tech File

地球科学の未来の博物館

084

Feature 2

事業承継にデザインはどう関わる?

086

Feature 2

日本の中小企業の事業承継をめぐる数字

088

Feature 2

企業同士をつないで事業承継の可能性を高めるM&Aプラットフォームとは?

090

Feature 2

インタビュー

中川政七 経営とデザインと「事業承継」の幸せな関係

092

Feature 2

デザインファームKESIKI が実践する「愛される事業承継」

096

Insight

ダーン・ローズガールデのパワー・オブ・ライト

102

Insight

現場をひらいて建築に居場所をつくり出すTEAMクラプトンの手法

109

クリエイターズナビ

齊藤太一、高山まさき、アーロン・ニエ、リッケ・フロスト、梅田哲也

114

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト:寺田親弘(Sansan 代表取締役社長/ CEO、神山まるごと高等専門学校理事長)

120

& DESIGN

アート(太田睦子)、ファッション(大根田 杏)、ビジネス(長谷川敦士)、インテリア(土田貴宏)、フード(君島佐和子)

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