場の未来

特集

場の未来

場というものの起源にさかのぼって考えたとき、そこに思い浮かぶのは案外、原っぱや公園のような場所ではないだろうか。内と外という区分けがなく、建物と街という境目もない。思いっきり遊んだり駆け回ったりすることで身体を喜ばせ、知覚や思考を促し、人同士のコミュニケーションや交流を促進させる。時に予期しない展開をも許容する広がりのある場は、人間の創造性を喚起し、新たな発想や行動を後押しするスタート地点とも言えるだろう。人という存在を中心に置き、さまざまな結び目となってモノや情報、社会との新たな関係性を紡いでいくことを見据えた最新のデザインから、未来の場のあり方とそのヒントを探る。

Vol.1882017年07月01日 発売
定価:1,800円
表紙:表紙写真 平野太呂

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街のポテンシャルをかたちに― 天理駅前広場コフフンと太田市美術館・図書館

人口減少や高齢化といった課題に直面する日本の地方都市。税収の減少に歯止めをかけ、かつての賑わいを取り戻す方策として、デザイナーや建築家が力を発揮することが増えている。それらの動きに共通する傾向に、継続的に成長していく場の設計がある。街が持っている魅力を、街の外へ、街の中へ伝えるにはどうすべきか。誕生したばかりのふたつの場から占う。

街のポテンシャルをかたちに― 天理駅前広場コフフンと太田市美術館・図書館

026

難民問題の解決に光をともす共創の場―スピネッリ プロジェクト

ドイツ社会を揺るがす難民問題。その解決への展望が開けない暗い現況に、建築科学生と難民が共同建設したコモンスペースが一筋の光を差し込む。

難民問題の解決に光をともす共創の場―スピネッリ プロジェクト

030

人やコトの結び目を目指した新しい場、6つの事例 Part 1

これまでにない目的をもつ場が次々と誕生している。これらの事例から見えてくるのは、効率ではなく創造性が求められる、空間演出に止まらない現代の新しい場のデザインだ。

人やコトの結び目を目指した新しい場、6つの事例 Part 1

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共に暮らす場のあり方―ヴィトラ デザイン ミュージアム「Together!」展

未来の暮らしを考えたとき、「共有」は欠かせないキーワードだろう。共に暮らすことや人との関わりを起点に建築のあり方を考える展覧会がドイツ、ヴィトラ デザイン ミュージアムでスタートした。

共に暮らす場のあり方―ヴィトラ デザイン ミュージアム「Together!」展

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音楽家と聴衆が一体となって思考を巡らす場―ピエール・ブーレーズ・ザール

ベルリンに誕生した世界唯一の楕円のコンサートホール「ピエール・ブーレーズ・ザール」は、音楽家と聴衆の新しいコミュニケーションを広げる場と言える。巨匠フランク・ゲーリーが「人間は言語や文化が異なっていても芸術を通して対話できる」という信念を実践するために無償参加した異例のプロジェクトだ。

音楽家と聴衆が一体となって思考を巡らす場―ピエール・ブーレーズ・ザール

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人やコトの結び目を目指した新しい場、6つの事例 Part 2

これまでにない目的をもつ場が次々と誕生している。これらの事例から見えてくるのは、効率ではなく創造性が求められる、空間演出に止まらない現代の新しい場のデザインだ。

人やコトの結び目を目指した新しい場、6つの事例 Part 2

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美味しさをハブに豊かさをつなぐ、これからの場とは?

誰もが毎日、何かしらのかたちで食と向き合い、食の場に身を置く。その回数は1日3食を前提に、1年で1,095回に達する。この最も身近で慣れ親しんだ生活習慣こそ、人をつなぐ最強の機会になり得るのでは? 訪れたゲストの「体温を上げるような」店づくりにこだわってきたスマイルズの野崎 亙と、デザイン思考に基づいて食の共創コミュニティづくりを仕掛けるNECの安 浩子が、食でつなぐ未来志向の場のあり方について語り合った。

美味しさをハブに豊かさをつなぐ、これからの場とは?

050

都市と握手する場― 銀座ソニーパークプロジェクト

2017年3月、東京・銀座のランドマークタワーとして親しまれてきたソニービルが、約50年の歴史にいったん幕を閉じた。22年にリニューアルオープンする予定だが、その間、敷地内には「銀座ソニーパーク」が出現する。“公園”という新たな場を創出する狙いとは?

都市と握手する場― 銀座ソニーパークプロジェクト

052

ブランド体験を創造する場の試み― JINS渋谷店

メガネのリテールのあり方を一変させたアイウエアブランドJINSがブランドコミュニケーションの新機軸に位置付け、誕生した新旗艦店。来店者の“気づき”とともに更新されていく新しい場のあり方を、空間設計を手がけた建築家・藤本壮介らの言葉などから紐解いていく。

ブランド体験を創造する場の試み― JINS渋谷店

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車道を人とコミュニティがわかち合う場へ― サンフランシスコ「パークレット」プロジェクト

その場がプライベートなのか、あるいは公共なのかといった議論は、実はもう古いのではないか。そう思わせるのが、サンフランシスコで進む「パークレット」という試みだ。クルマ社会に奪われた都市の中の空間を、人々が少しずつ取り戻そうとしている。ここではプロセスとデザインが大きな役割を果たしている。

車道を人とコミュニティがわかち合う場へ― サンフランシスコ「パークレット」プロジェクト

058

喜びとともに学びを後押しする場― Micr-Oプロジェクト

北京と香港に拠点をもつ建築事務所「スーパーインポーズ」が、中国の古都、杭州に「Micr-O(マイクロ)」を完成させた。子どもたちが交流を育みながら過ごせるサークル型のテントは、喜びを伴いながら学びに触れる場を目指している。

喜びとともに学びを後押しする場― Micr-Oプロジェクト

062

場の可能性を握る、余白を読む力― 松岡正剛インタビュー

猛烈なスピードで、日々、情報のインプット、アウトプットを繰り返している現代人。テクノロジー化が進む未来の社会において、デジタル化された情報と、物理的な場から感受する知は、どう絡まり合い、融合し、実のある知的空間へ向かっていくのか。「負の方法」と呼ぶ見立ての力で多領域の知を越境させてきた松岡正剛が、日本独自の場の未来について語ってくれた。

場の可能性を握る、余白を読む力― 松岡正剛インタビュー

007

高宮慎一 ベンチャーキャピタル流デザイン講

069

LEADERS

大友良英(音楽家)

074

Sci Tech File

アサガオの多様な変異の仕組みに絶え間ないイノベーションのヒントを読む

080

INSIGHT

100年の常識を覆すエアフリーコンセプト

086

INSIGHT

「 ローカル・ジェム」を磨く、エアビーアンドビーの試み

092

INSIGHT

ブロックチェーン・ブックが提示するもの―グーグル・シドニーのティー・ウグローによる試み

098

INSIGHT

アートとデザインを活かし、生活と医療の場の隔たりをなくす

104

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト>佐渡島庸平(編集者、コルク代表取締役社長)

110

クリエイターズナビ 

ピア・ヴュステンバーグ、仕立て屋のサーカス、島影圭佑、工藤桃子、
清水淳子、鬼木孝一郎、フォーブス・マーシー

117

寺尾 玄 Pop Gap Creative

118

& DESIGN

菅野 薫(テクノロジー)、太田睦子(アート)、土田貴宏(インテリア)、君島佐和子(フード)

122

書評― 創造へのつながり

野々村健一、伊藤隆之、白木夏子

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