京都の文化と創造性

特集

京都の文化と創造性

文化的な土壌なしに、創造性は生まれない。1200年の歴史のなかでさまざまな文化が育まれてきた京都は、日本の文化の中心地として、常に創造性豊かな人材を引き寄せ、新しい産業や活動の興隆を後押ししてきた。例えば「旦那衆文化」と言われる相互扶助のシステムは、現代において、先輩経営者が若手起業家に手を差し伸べるスタートアップ支援というかたちで脚光を集める。多様な文化や価値観を受け入れ、相互に刺激し合えるような環境が形成されてきたことも、京都という都市が持つ魅力として見逃せない。真似をすることを良しとせず、技術や感性を磨いてきた職人文化はものづくりの源泉として、このまちに独特の風土と活気をもたらしている。こうした文化的な土壌を背景に、ヒト、モノ、コトを引き寄せる京都の魅力と、そこから生まれる新たなデザインや取り組みを通して、都市に活力をもたらす京都ならではの創造性を考えたい。

Vol.2232023年05月01日 発売
定価:1,800円

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016

究極の美を追求する 細尾の次なる展望

先端テクノロジーを採り入れつつも、一方で古代染色の手法を復活させるなど、独創的な発想で織物の刷新を図ってきた織元・問屋がある。1688年、京都・西陣に創業した細尾だ。市場規模が縮小する危機的状況を憂い、海外への販路を開拓。異業種やクリエイター、若い世代を巻き込みながら、織物の世界に新たなルネサンスを起こしてきた12代目の細尾真孝に、京都の伝統文化を最前線で牽引していくための展望を聞く。

究極の美を追求する 細尾の次なる展望

022

都市の個性がもたらす 研究者へのインスピレーション ――ソニーCSL 京都研究室を訪ねて

ソニー系列のラボとして35年前に開設され、数々の先端技術の揺りかごとなってきたソニーコンピュータサイエンス研究所。長期的な視座のもと、未来の社会に役立てる目的でリサーチャー個人に研究の方向性が委ねられるのが特徴だ。新たに少数精鋭のチームで立ち上がったソニーCSL京都研究室には、どんな人物が所属し、どのような研究がなされているのか。なぜ、京都が選ばれたのか。現場の声に触れて伝わってきたのは、人間の「創発性」がどのように育まれ、どう研究で発揮されるのかという条件だ。

都市の個性がもたらす 研究者へのインスピレーション ――ソニーCSL 京都研究室を訪ねて

028

海外クリエイターが見る「京都」

vol.1 OEO スタジオ

海外クリエイターが見る「京都」

030

現代に息づく文化サロン ZENBI –鍵善良房– KAGIZEN ART MUSEUM 両足院

古くから文化人が集い、街全体がサロンのようでもある京都。常に革新を取り入れてきた街で、現代にふさわしいサロン的な活動をしているふたつの場を訪ねた。老舗の和菓子屋「鍵善良房」の美術館「ZENBI―鍵善良房―KAGIZEN ART MUSEUM」と、建仁寺の塔頭「両足院」。長い歴史を刻む菓子屋と寺院は、現代の作家が交流し、新たな作品が生まれる創作の場でもあった。

現代に息づく文化サロン ZENBI –鍵善良房– KAGIZEN ART MUSEUM 両足院

038

海外クリエイターが見る「京都」

vol.2 ジュリア・カセム

海外クリエイターが見る「京都」

040

京都に広がる スタートアップエコシステム

京都という街並みや文化が持つ魅力に「伝統」という要素があることは、多くの人がイメージできることだろう。しかし、それだけでもないはず。新しい産業や事業が芽吹き、経済的にも文化的にも京都を彩るスタートアップエコシステムの輪郭を追った。

京都に広がる スタートアップエコシステム

046

街の魅力とインディペンデントな才能を引き出す、 写真の祭典キョウトグラフィー

行政や組織と距離を保ったインディペンデントな運営スタイルや、社寺や京町家などとコラボレーションしたサイトスペシフィックな展示方式で国際的に注目を集める「KYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)京都国際写真祭」。創設者のふたりはもともと京都に縁のない「よそ者」だ。彼らが京都に抱く可能性と、街に根ざした運営の工夫を聞いた。

街の魅力とインディペンデントな才能を引き出す、 写真の祭典キョウトグラフィー

052

海外クリエイターが見る「京都」

vol.3 ロナン・ブルレック

海外クリエイターが見る「京都」

054

京都人に愛される、大垣書店のヒミツ

京都を中心に約40 店舗を構える大垣書店が、2021 年に書店、印刷工房、カフェ、ギャラリーなどを備えた「堀川新文化ビルヂング」を誕生させた。こう書くと、よくある書店の一例に過ぎないと思うかもしれない。しかし、その意図は異なり、「息をするように書店に来る人」を受け止めながら、自ら発信する新しい本屋の姿を目指している。大垣書店が人々に愛される理由を探った。

京都人に愛される、大垣書店のヒミツ

058

十五代吉左衞門、樂 直入が今想うこと

京都の文化の根幹にある茶の湯。16世紀、陶工の長次郎は樂焼きを生み出し、千利休の佗茶のために黒樂茶碗と赤樂茶碗をつくった。樂直入は樂家の十五代目の陶工である。京文化の中枢にいた人は現在の京都をどう見ているのか。喧騒から離れた京都・久多のアトリエで話を聞いた。

十五代吉左衞門、樂 直入が今想うこと

006

Close-Up

xlab Showcase 2023 “Ways of Uninventing”

069

LEADERS

重松象平(建築家)

074

Sci Tech File

ゲーテ、ヘッケル、そしてゴジラ……
人は動物(+怪獣)の形態に何を見てきたか。

080

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト:トーマス・ヘザウィック(デザイナー、へザウィック・スタジオ創設者)

086

Insight

デザインを科学的に解き明かし、創発の場を生む
「THE DESIGN SCIENCEFOUNDATION」の誕生

092

Insight

クラウズ・アオが押し広げる
建築の境界と限界

098

Insight

ザ・フレーバー・オブ・パワー
――食と倫理の関係性から読み解く「権力の風味」

104

Insight

拡張するデザイン展
ふたりのデザインジャーナリストが着目した未来への眼差し

112

TAKT PROJECTの東北考

「美しさ」から始める姿勢

116

& DESIGN

フード(君島佐和子)、ビジネス(長谷川敦士)、インテリア(土田貴宏)

121

クリエイターズナビ

能作文徳、炭酸デザイン室、岡﨑真理子、大橋弦也、井村一登

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