保水性道路 
「皆さん打ち水にご協力を」

「この歩道は保水性道路です。打ち水にご協力ください」。ちなみに、周辺がまだ工事中のため、この表示ブロックには養生用のテープが貼ってあり、それが剥がれて汚くなっている。工事終了後はきれいになるとのこと。

▲「この歩道は保水性道路です。打ち水にご協力ください」。

AXIS編集部があるのは東京都港区六本木。この写真は地下鉄・六本木駅の近く、芋洗坂周辺に5月に出現した「保水性道路」。この表示ブロックの文言にあるように、「水をまけば涼しくなる」という程度の理解は誰にでもある。夏にはあちこちで“いっせい打ち水”というようなイベントも行われている。ヒートアイランド対策ということもわかる。

とはいえ、この保水性道路、どういった仕組みでどんな効果があるのか。なぜ急に(?)ここに現れたのか。この道を通るたびに気になってしかたがないので、工事を担当する港区土木事業課 道路橋りょう係に話を聞いてみた。

港区では平成15 年度より、ヒートアイランド対策として、新たに道路整備をする場合には、基本的に保水性道路を採用している。特に六本木のような「ホットスポット」(狭い土地に多くのビルが立ち並び、夜も昼も人が多く、冷房もガンガンかけ、クルマも多くて排ガスもいっぱいの、文字通り“熱い場所”)も重点整備地区となっている。

ちなみに、周辺がまだ工事中のため、この表示ブロックには養生用のテープが貼ってあり、それが剥がれて汚くなっている。工事終了後はきれいになるとのこと。

▲ちなみに、周辺がまだ工事中のため、この表示ブロックには養生用のテープが貼ってあり、それが剥がれて汚くなっている。工事終了後はきれいになるとのこと。

保水性道路(この場合は保水性ブロックが敷かれている)には、中に保水性のある材料(保水材)が充填されており、雨が降ったり、打ち水をすると、その水が染み込んで、中に蓄えられる。そしてその水が蒸発する際の気化冷却熱によって、路面温度が下がるという仕組み。現在はまだ効果の確認段階で、メーカーによって数字はさまざまだが、気化冷却熱によって路面温度が10〜20度くらい下がり、地面から50cmくらい(ベビーカーくらいの高さ)では、2〜3度下がるという。真夏には70度近くになる路面温度が50度近くまで下がるということだ。それに一度水をまけば、2、3日は中に蓄えられる。つまり効果が2、3日持続する。

ブロックの値段は、メーカーによってさまざまだが、1平米あたり約8,000円(従来の舗装では約6,000円)で、ここ数年の需要の拡大とともに安くなる傾向にあるとのこと。

保水性道路の整備にあたっては、事前に周辺住民や店舗に、その用途効果を説明して了解を得て、打ち水の協力のお願いもする。

港区では保水性舗装のみだが、自治体によっては遮熱性舗装を採用しているところもある。これは、路面温度を上昇させる、太陽光に含まれる近赤外線を反射する、特殊な材料を路面に塗布するものだ。

これら保水性舗装と遮熱性舗装は、あくまでも道路におけるヒートアイランド対策。これに緑化や省エネ促進など、さまざまな対策が複合的に実施されていく。

それにしても、今年も5月早々に真夏日を記録した東京。今年の夏も無茶苦茶暑いことだけは間違いない?