ソニー「スケール」(2006)

Photos by Makoto Fujii

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AXISの人気企画の1つが特集「プロトタイプ」。国内外の企業やデザイナー、研究者による、さまざまなプロトタイプを数多く紹介してきました。プロトタイプには、未来に向けたデザイナーのコンセプトや視点が込められているはずだとわれわれは考えます。ここでは、今までに登場したプロトタイプたちを、紹介していきます。1回目はソニーの「スケール」。

 

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ソニー「スケール」(2006)

物理的な実体としてのオブジェクトと、デジタルデータ化された仮想表現との関係性を探るためのリサーチモデル。人の目がネットワークの向こう側とどのようにコミュニケートしているかという問いから、このプロジェクトは始まった。モデル名「スケール」は、オブジェクトの寸法と質量を示している。

右手のデジタルスケールを内蔵したスクリーンにオブジェクトを載せると、上部に設置したカメラが自動的に撮影。サイズ、重さ、撮影日時、撮影者といったデータを瞬時に記録する。左手のディスプレイでは、集めたオブジェクトのデータをサイズ、色、明るさといった、さまざまな基準で分類・表示するが、その際、従来の平面的な表現を超えるあり方が追求されている。

例えば、質量の大きいオブジェクトを沈み込むように映し出したり、タッチペンを用いた映像の移動がサイズや質量によってゆるやかだったり、またソートをかけたときの跳ね方に大小があったり、さらには音の高低に違いがあったり。

このように表示や動きを物理的世界と呼応させることで、オブジェクトそれぞれの属性を視覚的に認識、比較できるだけでなく、より自然に“感じる”ことを可能にしている。(AXIS 123号  特集「21世紀のID」より)

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「スケール」については、ソニーのホームページでムービーを見ることができます。