空港を舞台に!
メディア+パブリックアートの新たなかたちを提示する「空気の港」が開催

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「空気の人」 Photo by Mie Morimoto

AXIS 140号の特集「プロジェクトレポート 次なるキーワードを探せ」で紹介したデジタルパブリックアートプロジェクト「空気の港」が、10月9日(金)~11月3日(火)まで羽田空港第1、第2旅客ターミナルで開催されます。

作品展示の舞台となる羽田空港は、年間6,500万人以上の人が利用する日本を代表する“空の玄関”。飛行機での移動が珍しくない今日でも、ここを訪れるたびに気分が高揚する人というのはかなりいるのではないでしょうか。その意味で、空港の持つ雰囲気はどこか美術館と似ているのかもしれません。

「空気の港」のプロジェクトは、東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬通孝教授をリーダーとする4つの研究室とアーティストの鈴木康広さんによって準備が進められてきたものです。「コンピュータで何をするか、コンテンツこそが私たちの研究対象なのです」と語る廣瀬教授。対して、「インタラクティブな仕組みをつくって見せるだけといった従来のデジタルアートやメディアアートとは違ったものにしたい」と鈴木康広さんは言います。

まばたきの葉

「まばたきの葉」

足掛け6年に及んだ協同研究の成果発表の場を、大勢の旅行者が行き交う空港というスペースにした狙いについては、「パブリックアートはアーティストの自己表出ではなく、場所との関係から生み出されるべきもの。依頼がある前は、空港を展示場所として考えたことはありませんでしたが、プロジェクトにとって相応しい場だと直感しました」(鈴木康広さん)と語っています。

未来の足跡

「未来の足跡」

Please watch your step

「Please watch your step」 エスカレーターの乗降者ひとりひとりにメッセージを投げかける作品。

会期中は、極薄のハイテク素材製の人型風船の中にヘリウムガスを入れて浮上させる「空気の人」や、歩行者の歩く速度や方向を逐次画像認識しその人の次の一歩を先に光で指し示す「未来の足跡」など、視覚・聴覚・触覚を刺激する魅力的な作品約20点がターミナルのロビー、通路など空港全域に展開する予定。空港内に漂う独特の「空気」を可視化した作品を見れば、これはKYならぬ、KM(空気が見える)な展覧会であることが実感できるはずです。

「メディアアート」と「パブリックアート」双方の視点を取り入れた新ジャンル「デジタルパブリックアート」を標榜するプロジェクト「空気の港」。会期中に羽田空港を利用する機会のある人は、少し早めに空港に向かわれることをお薦めします。もちろん、飛行機に乗らない人も、必見です。

出発の星座

「出発の星座」 羽田空港が開港した日の星空を再現した天井に、目的地の方角に向かって飛び去る飛行機のイメージが大きく現れる。旅立ちのイメージを感じることができる作品。

Digital Public Art in Haneda Airport
空気の港」~テクノロジー×空気で感じる新しい世界~

会期:2009年10月9日(金)~11月3日(火)
会場
羽田空港第1、第2旅客ターミナル
時間
:10:00~19:00
入場料:無料

主催:東京大学「デジタルパブリックアートを創出する技術」プロジェクト、日本空港ビルデング株式会社