楽器に込められた思想と表現、
「Yamaha Design MasterWorks 『先進』の系譜」展

銀座7丁目中央通り沿いに2月26日(金)にオープンする新「ヤマハ銀座ビル」。最新の音響設計技術を駆使したコンサートホール(新「ヤマハホール」)や多目的利用を想定したスタジオ(「ヤマハ銀座スタジオ」、国内最大級となる楽器専門店舗などを擁する新たな“音楽の館”で、3月5日(金)~24日(水)までの期間、同社の製品デザインを紹介する展覧会が催されます。

「Yamaha Design MasterWorks 『先進』の系譜」と題された展示は、初期型電子ピアノやハイブリッドピアノといった、1960年代後半から現在に至る同社の鍵盤楽器を中心に、6点のアドバンスデザインを加えた19作品で構成されるというもの。展示品のなかには、電子楽器ジャンルにおいて“名機”、あるいは“傑作”と評されるデザインも少なくありません。

伝統に重きが置かれることの多い楽器開発にあって、時代を見据えた挑戦の数々とその軌跡こそが、本展の最大の見所と言えます。テクノロジー(音源、発音構造、筐体構造など)、フォルム(佇まい、材質、仕上げなど) 、パフォーマンス(プレイスタイル、インターフェースなど) といった3要素における先駆的な試みが、新たな楽器の価値創造にどのようにつながっていったのか。展示は、ときに演奏という行為やプレイヤーとの関係性にまで及ぶ楽器の開発プロセスの一端を明らかにしてくれるはずです。

▲会場の中心には、2008年に発表されたアドバンスデザインの1つ、「Key between people」が設置され、連日ピアニストによる演奏が繰り広げられる予定です。

プロダクトデザインの世界では、しばしば「先進性を表現した」という文句を耳にする機会があります。しかし、時間の経過とともに色あせて見えるようなものは、もの珍しい形の表出であって、到底、真の先進と呼ぶことはできません。時代を超えて受け継がれる新たな価値創造と、それに対する飽くなき探究心――タイトルに添えられた「先進」という言葉は、単に形の先進性を誇示するものではなく、こうした開発姿勢にこそ向けられたものと見ることができるでしょう。

シンプルでありながら優美なフォルムとミニマルな機能、さらに優れたインターフェースの実現といったヤマハの楽器に対する評価は、ヤハマデザインのDNAとも言えるこうした取り組みの積み重ねによって築かれ、今なお脈々と受け継がれていることを本展は明らかにします。会場ではWOWが制作を担当するオリジナル映像が流され、新たな空間のなかで、展示品とともにどのようなハーモニーを刻むのかにも注目です。ぜひとも、お見逃しなく!

WOWが本展のために制作したオリジナル映像の一部より。

なお、時間のある方は、同社の製品デザインとコンセプトキーワードとの関係性を紹介したYamaha Design “Synapses(シナプシス)”というサイトを訪問することをお勧めします。こちらは、鍵盤楽器に止まらない、ウェブ上で展開されるもう1つの「Yamaha Design MasterWorks 『先進』の系譜」と呼ぶべきものです。

Yamaha Design MasterWorks 「先進」の系譜

会期:2010年3月5日(金)~24日(水) 10:30~20:00
   (日・祝日は、10:45~19:00、最終日の3月24日のみ17:00まで)
会場ヤマハ銀座スタジオ (中央区銀座7-9-14 ヤマハ新銀座ビルB2)
入場料:無料
問い合わせ先:Tel. 053-460-2883(ヤマハデザイン研究所