バンコクでハイレベルなリゾートホテルは
チャオプラヤ川沿いに

バンコクの中心部、BTSスカイトレイン・サパーンタクシン駅すぐにボート乗り場があり、各ホテル専用のシャトルボートに乗り混んだ瞬間からリゾートにいるような錯覚に陥ります。ボートから見えるのは、シャングリラ、マンダリンオリエンタル、シェラトン、ヒルトン、ペニンシュラ。

チャオプラヤ川に面したホテル群は、トラベル誌のホテルランキングで毎年上位に入賞する、レベルの高いエリア。カテゴリーとしてはビジネスホテルですが、リゾートとしても全く引けをとらない雰囲気を醸し出しています。

このチャオプラヤ川沿いに1992年開業したマリオットホテルは、サパーンタクシン駅から最も離れたところにある、プーケットのような感じのホテル。下手なリゾートホテルなど太刀打ちできない雰囲気があります。

近年バンコクで開業している世界チェーンのホテルの多くは利便性の高い都心部や、高層タワーの
上層部に位置しています。しかし、このマリオットは、低層の建物に、オープンエアのコリドーやプールサイドバー、デッキに面したレストランなど、やっぱりリゾート?と勘違いするほど。

同じくチャオプラヤ川沿いに2006年開業したミレニアム・ヒルトン・バンコクはニューヨークをベースにしているトニー・チーのデザイン。パークハイアット・シャンハイ同様、コンテンポラリーな空間の中にどこか懐かしい家具やアートを散りばめた演出はさすがです。

オールディーダイニングの高い天井から吊るされたペンダント照明。そのコードの長さには驚かされます。日本では規格上NGが出そうな感じですが、ぜひやってみたい。

トニー・チーお得意の“ペンダント軍団”。高い天井から振り下ろされる鋭いシールドビーム球の円筒です。

そして、炎とスモークで幻想的な雰囲気のテラス。

最上階のクラブラウンジテラスは、アウトドアリビングのような雰囲気。特に夕暮れ時はここがバンコクの街中だということを忘れてしまいそう。ロスのモンドリアン(フィリップ・スタルクのデザイン)の東南アジア版かもしれません。

コリドーにレイアウトされたペンダント照明の見たことのないカタチにびっくり。

部屋からの夜景では対岸のマンダリン・オリエンタルの光が水面に映りこみ、その美しさに感動。チャオプラヤ川に滞在してよかったと再認識。

バンコク中心部では、フォーシーズンズやスコタイ、バンヤンツリーと名だたるホテルが競い合っていますが、風の心地良いチャオプラヤ川沿いのホテルには、デザインや格式だけでは表現できないアドバンテージがあると思います。特にコストパフォーマンスとデザイン、川沿いの三拍子揃ったミレニアム・ヒルトン・バンコクはお薦めです。(文/マックスレイ 伊藤賢二)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。