第1回 金沢・世界工芸トリエンナーレの開催迫る。
テーマは
「工芸的ネットワーキング」

▲世界工芸トリエンナーレは金沢市内の2つの会場で行われます。第1会場となる「リファーレ」の会場デザインは、出展作家としても名を連ねるnendoが担当。

工芸とは一般に、実用品としての機能性に装飾性を加えた手作業によって生み出されたものを指します。しかし、これが「工芸的」となると、その意味や可能性、対象となる作品の幅は大きく広がっていくのではないでしょうか。

▲台湾のチャン・チンユン(張清淵)の作品「mislocated matrix 2009-11」

1995年に「世界工芸都市宣言」を行った金沢市は、5月8日(土)より、金沢21世紀美術館の館長である秋元雄史氏をディレクターに迎え、第1回 金沢・世界工芸トリエンナーレを開催します。「工芸的ネットワーキング」という全体テーマには、歴史的に工芸とゆかりの深いこの地から、ネオ工芸ともいえる枠組みを拡張させるような新たな可能性を、世界に向けて提示したいという意気込みが感じられます。

▲nendoの作品「cord-chair」 Photo by Yoneo Kawabe

参加作家は、工芸、デザイン、建築、アート、ファッションといったジャンルで活躍する46組(40人、6グループ)。隈 研吾、ミナペルホネン、佐藤 卓、城谷耕生などの名も並びます。さらに、韓国や中国、台湾を拠点にしている作家を招聘している点も特徴です。

▲韓国のイ・スギョンの作品「Translated vase」 写真提供:オオタファインアーツ

各分野がネットワークのように結びつき、その結節点(結び目)に位置づけられる展示作品の数々。そこに共通するのは、「モノの直接性が強調されて、細部が知覚へと訴えかける、五感を解放」するという点であり、高度な技と素材への見識のうえに成り立った優れた調和の跡です。

今日のデザインはその意味が広範になりすぎ、ややもすると「ものづくり」という発想から遊離してしまってる印象が少なくありません。一方で、常に手を動かし、ものづくりの現場でもって発想を試みようとする工芸の世界には、デザインが失いつつあるものづくりへの姿勢がいまだに強く息づいています。生活に根ざした用具としての工芸が、さまざまなジャンルと結びつくことで開花する新たな「工芸的」世界。利休や織部が今という時代を生きていたら……などといったことをつい思い浮かべてしまいたくなるような展覧会になることを期待したいところです。

第1回 金沢・世界工芸トリエンナーレ
会場:第1会場/リファーレ2F(金沢市本町1-5-3)、第2会場/金沢21世紀美術館市民ギャラリーA(金沢市広坂1-2-1)
会期:第1会場/2010年5月8日(土)~6月20日(日) 10:00~18:00(月曜休館、ただし5月10日は開場)、第2会場/2010年5月8日(土)~5月16日(日) 10:00~18:00(会期中無休)
入場料:無料
問い合わせ先:Tel. 076-220-2373、E-mail kogei@bp-musashi.jp(金沢・世界工芸トリエンナーレ開催委員会)