照明デザイナー面出薫・アートディレクター葛西薫が語る
「光りの本質」とは?

マックスレイでは、昨年より大阪の本社で「Linxrossing / リンクロッシング」というトーク&;交流会を主催しています。「光り・照明は、どんな場、どんな分野、世界にも通じるもの」というコンセプトで、さまざまな分野のゲストとその場に集うというサブコンセプトの下、会を重ねてきました。そして、この7月から東京でもLinxrossing Tokyoを始めました。

東日本大震災が起きてから、私たちも、街の灯り・空間照明のあり方など、”節電”という大きなミッションのもと新たな取り組み、見直しの中にいます。Linxrossing Tokyoでは、「光り」というキーワードを通して、これからの照明を担う私たちにできること、新たな照明への取り組み・あり方を探求する会をつくっていこうと企画しました。その第1回を去る7月6日、アクシスビル地下1階のシンポジアで開催しました。テーマは「光りの本質」。ゲストに照明デザイナーの面出 薫さん、アートディレクターの葛西 薫さんを迎え、おふたりのプロジェクトを通して、照明についてわかりやすく興味深くお話しいただきました。

例えば、葛西さんが手がけたウーロン茶の広告のヴィジュアルを見ながら、面出さんがそこに表現されている「光り」の効果をわかりやすく解説してくれたり。そして、名前が同じ「薫」さんということの縁なのか、おふたりに共通するキーフレーズがそれぞれの著書や関連書籍の中に見出すことができたので、その項目にそってトークを進めていきました。

進行役を務めた私は、おふたりの波長が常に合い、どんどん興味深い展開なっていく様子に感激しながら聞き入っていました。普段は「照明」「広告」という異分野の世界にいながら、それぞれの仕事に向き合う姿勢、ものごとへの考え方に共通する意識があることに、来場された方々も何か感じることがあったと思います。

終了近く、面出さんが、葛西さんの話を聞きながら感想を述べました。「葛西さんの話を聞いていくと、“見立て”という言葉が浮かびます。状況をきちんと見立てる。良いを拾い上げ、既存のものとくっつけてあげるだけでも価値を得るものがあるのです」。

照明の世界では、今、白熱光源からLED光源へ急ピッチでシフトしていく状況です。面出さんはまた、「ろうそくやオイルランプにはじまり、最新技術の発光ダイオード、LEDに至るまで、すべての光りが融合して、きちんと生活のなかで使われていく時代を迎えてほしい」とも。

「広告は新しくなければいけない。強くて、目立たなくてはいけない。そうわかっていても、意識しすぎると短命に終わったり、逆に誰も見てなかったりする」という葛西さん言葉に、面出さんの思いが繋がったような気がしました。ふたりの「薫」さんの思いは、これからもずっと引き継がれて残っていくような、そんな印象的なお話でした。このトークの内容は、今後改めて全文をマックスレイのウエブサイトで紹介していく予定です。

さて、Linxrossing tokyoの第2回の開催が決まりました。2011年10月5日(水)で、テーマは「光りのチカラ」。面出さんが照明デザインを手がけたせんだいメディアテークの副館長・佐藤 泰さんと、デザインプロデューサー・プロジェクトエディターの紫牟田伸子さんを迎え、建物のシンボルとしての「光り」や、東日本大震災以降も軸のブレない企画と発信を続けているメディアテークの原動力などについて、さまざまな角度からお話を聞いていきます。(文/マックスレイ 谷田宏江)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。