マーク・ニューソンと京都の老舗工房 清課堂シャンパンクーラー
ドン ペリニヨンより日本限定で販売

幣誌89号の表紙に登場したプロダクトデザイナーのマーク・ニューソンが11月に来日。12月6日まで期間限定でオープンしている阪急MEN’S TOKYO内のドン ペリニヨン ショップで取材に応じた。京都を拠点とする錫職人で清課堂7代目の山中純平と取り組む恊働プロジェクトについて語った。 

▲マーク・ニューソンと、コラボレーションパートナーである京都・清課堂の7代目である山中純平。

「日本の優れた職人と出会うことができ、かつ彼らと一緒に仕事ができたことがとてもうれしかった」。今回のプロジェクトへの思いを問われると、マーク・ニューソンは真っ先にこう答えた。両者の幸福な出会いを導いたのは、無二のシャンパンブランドとして常に進化を続けるドン ペリニヨン。ニューソンとは、2007年の限定ボトルを皮切りにたびたび恊働してきた間柄でもある。

「私はこのドン ペリニヨンというブランドが大好きです。瓶の中身はもちろんですが、哲学や製品に込められた文化にも魅了されている。加えてブランドを維持するためにいっさい妥協せず、自然を相手に常に一貫した味をつくり続けるものづくりの姿勢、それはもうクレイジーとしか言いようがない」。ニューソンは独自の言い回しでドン ペリニヨンに敬意を表す。

 

▲12月6日(火)まで期間限定でオープンしている阪急MEN’S TOKYO 1階のドン ペリニヨン ショップ。

「妥協を許さないクリエイション」――そんな言葉で強い信頼を寄せ合う両者。その最新プロジェクトでは、錫師として創業し、170年以上の歴史を誇る京都の老舗工房清課堂の山中純平が協力者として名を連ねる。

ちょうど1年半前、ニューソンは日本限定発売となるシャンパンクーラーのデザインにドン ペリニヨンとともに取りかかった。アイデアを求めて京都を訪問したニューソンは、そこで職人の仕事を見て歩いていた。「ヨーロッパでは、古くから培われてきた伝統技術がどんどんと衰退しています。それと比べると日本はまだ伝統的な職人技が生活文化として息づいている。私は日本に来るたびに職人の仕事に触れ、刺激を受けています」。

いくつかの工房を見て回るなかでニューソンが強く惹かれたのが清課堂の店頭に並ぶ石目加工を施した錫製品類だった。繊細で優しい手触りや風合いは日本人につとに知られたものだが、ニューソンにとっては初めて目にするテクスチャー。それが新鮮に映ったという。錫を用いたこの加工でシャンパンクーラーをデザインしようと考えるまでに、それほどの時間は要さなかった。

▲マーク・ニューソンが手にするのが、来年1月に発売となる日本限定シャンパンクーラーのプロトタイプ。

最初のデザイン画と設計図面が山中のもとに届いたのはそれから半年後のこと。フォルムをめぐるやり取りは何度も続いた。さらに時間を要したのが、石目のテクスチャーの再現だった。「小さな問題が出ればそれを解決していく。ものづくりの基本はステップ・バイ・ステップ。私たちはしゃべる言葉は違いますが、いったん作業が始まれば、技術的な共通ランゲージのもと、課題の克服にあたることができました」とニューソンは語る。

1年にわたるやり取りを経た試作づくりにOKが出されたのは、今回の来日直前だ。来年1月の発売を控え、両者のやりとりは今も続く。ニューソンは言う。「実はまだこのシャンパンクーラーを何と呼ぼうか決めていない。3者が納得できるものを目下思案中なんです。完成品ができ上がったあかつきには、ネーミングのアイデアが出てくるかもしれません」。

京都の伝統職人とのコラボレーションを通じて、「世界中の人たちが職人の仕事に関心を持つ機会になってくれれば」とも。そしてこう続けた。「デザイナーという職業は最も国際的な仕事だと思っています。何人であろうと、つくったものを人に見てもらえるチャンスがある。それゆえ私は世界中で仕事をこなし、その土地土地の素晴らしい技術や職人の技をできるだけ多くの人に伝えたいのです」。

独特のテクスチャーと錫ならではの重厚感を備えた日本限定販売となるシャンパンクーラーは、来年1月にドン ペリニヨンのボトル(750ml)とセットで限定発売される予定だ。

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