東京・丸の内「パレスホテル東京」内の和食店『和田倉』
非日常感を感じさせるライティング

2012年5月17日(木)パレスホテル東京がグランドオープンします。所在地は丸の内1-1-1。ホテルロビーや客室はGAデザイン・インターナショナル社がデザイン。同社はここ最近日本国内のプロジェクトが多く、ホテル好きの私も頻繁に利用させてもらってます。今回は6階の和食店「和田倉」の照明のお手伝いをさせていただきました。和田倉のインテリアデザインは小坂 竜氏率いるA.N.Dの宮里氏です。

和田倉のエントランスです(▲)。現場作業時の記録用スナップ写真ですので、少々ピントが合っていませんが、目を細めて見ていただけると次第に鮮明に見えてくるということでご勘弁ください。間接照明と行灯が主体の光でエリアをはっきり区切った構成です。

レセプションは壁面明かりをしっかりとり、スタッフの表情と背景のコントラストを際立てました。通路のアートワークを施した天井には直接照明を付けず、角型開口内部、四隅からクロス状に光を放つようにレイアウトしています。

レセプションを90度折り返すと鮨「かねさか」、正面はメインダイニングへ誘う長い横丁のような通路です。著名な左官職人による仕上げと照明のコラボレーション。

天麩羅「巽」と鉄板焼「濠」の壁面が段々と迫り出し、幾つかのお店が連甍しているようです。天井から床まで一気に光を滑らせて、アートワーク天井へ柔らかい光で掬い上げ、大胆に要素を絞った構成で非日常性を醸し出しています。

メインダイニングはテーブル6卓と少なめです。隣席との距離も比較的離れているので静かに食事ができると思います。石壁を潺湲と流れる滝と広大な皇居の敷地を見下ろす心地良い雰囲気です。

4人用のテーブルは都会の喧騒と一線を画す個室です。伝統を継承しながらほんの少し気鋭感をプラス、消費されにくいデザインになったのではないかと思います。そして老若男女、パレスホテルの三世代に渡って愛され続けた気持ちに応えながら、5月17日新しいスタートが踏み出せると私は確信しています。

乞うご期待です!(文/マックスレイ 伊藤賢二)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。