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山中俊治 著『カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢』

『カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢』
山中俊治 著(白水社 1,680円)

著者のプロダクトデザイナー山中俊治氏は、北京パラリンピックでトラックを疾走する両足義足のオスカー・ピストリウス選手の姿に目を奪われたという。身体の動きと一体化したカーボンファイバー製の義足に究極の機能美を見出したのだ。ひとりひとりのために手づくりされる義足は、量産品の車椅子などと異なり、デザインとは全く無縁のものだった。そこで山中氏は2008年秋から、慶應義塾大学の学生たちとともに、義足デザインという未踏のプロジェクトに取り組み始めた。

本書は、義足とは何かを一から学び、義肢装具士や義足メーカーなどと協力し合い、選手たちとの対話を通して、試行錯誤を重ねながら、高い機能性と美しさを兼ね備えたスポーツ用義足の開発に挑んだ3年間のドキュメントである。実用化モデルは、陸上競技の高桑早生選手と自転車競技の藤田征樹選手が装着する。両選手ともに来るロンドンパラリンピックに出場し、この義足に関わったすべての人たちの夢をのせて、世界の舞台で走ることとなる。

以下、目次より;

第一章 オスカー・ピストリウス
第二賞 ブレードランナーたち
第三章 日本一の義肢装具士、臼井二美男さn
第四章 走り出した義足プロジェクト
第五章 陸上競技用下腿義足
第六章 自転車競技用下腿義足
第七章 最終選考会