刀剣をモチーフにした酒器「日本のかたち」
ーーSHIKKI de SHUKI 2013より

「日本のかたち」
デザイン:鬼窪保明
漆器制作:未空うるし工芸、(有)丸嘉小坂漆器店

過去の自分がデザインをした作品・製品は、日本の伝統工芸・文化を基軸に形づくられています。今回の酒器も、刀剣という日本の工芸の最たるものの”かたち”に起因しています。酒器の題名にした「剣(つるぎ)」は本来は両刃の刀のことを指しますが、ここでは広く刀剣全般のことを指しています。酒器の四辺の稜線を刃に見立て、また酒器で最もポピュラーな枡のイメージも取り入れたかたちとなっています。

お盆、箸置き、大、中、小三つの酒器が1セットとなり、箸置きを中子として、三つを重ねてコンパクトに収納できるようになっています。お盆にはつまみなどを置きます。大きさの違う三つの酒器は、そのときの気分や体調によって使い分けます。自分的には、大、中、小、をそれぞれ、太刀、脇差、小刀と呼んでいますが(^^)。

酒の切れ味は抜群です。

鬼窪保明/1948年長野県諏訪市生まれ。諏訪精工舎(現セイコーエプソン)入社後、パリBJO宝飾工芸学校留学。セイコークレドール、ジュエリーウォッチのチーフデザイナーとして活動。81年 セイコークレドール宝飾時計第一号HSR050(価格2億2千万円)を製作。98年 クレドール宝飾時計「刀」にて第一回ウォッチ・オブ・ザ・イヤー審査員特別賞受賞。宝石学会(日本)会員、CGL宝石鑑定士。現在毎日酒に囲まれ悠々自適。

この連載では、去る2月14日〜16日の3日間にわたって、アクシスギャラリーで開催された「SHIKKI de SHUKI 2013展」に出展された9名のデザイナーによるそれぞれの理想の酒器を紹介していきます。