コミュニケーションデザインをマネジメントする難しさについて

デザインするムラをデザインする? このコラムのタイトルをご覧になった方は、何を想像されたでしょうか?

「コミュニケーションデザイン」という言葉が社会の中で使われ初め、もはや何も目新しくない存在になっていますが、現代のビジネスシーンでこの言葉は未だにカタチになっておらず、さまざまなジャンルの人たちがデザインイノベーションの模索として、羅針盤のような使い方をしている気がします。

僕もそのひとりで、代表を務めるandesign(アンデザイン)という会社は2001 年 10 月に小さなデザイン事務所として産声をあげ、命名した屋号は「and」と「design」を掛け合わせた造語で、そのときからコミュニケーションデザインを意識していました。

当時はグラフィックと空間のデザインをメインとしていましたが、現在は子会社2社を含めグループ全体のスタッフは 45 名ほど。ブランディング、広告、グラフィックデザイン、ウェブ、デジタルサイネージ、セールスプロモーション、展示会ブース、内装デザイン、建築などなど。ある程度のチームに分かれ、そのいちばん得意とするジャンルでデザインを進めていき、ときに私がチームを横断的にディレクションすることで、クライアントに合ったいちばん良いイノベーションをプロジェクトごとに創り上げています。

しかし、これが難しい!

デザインのムラの形成と将来像の図

今の日本ではフリーランスデザイナーやデザイン事務所は、特化したジャンルを売りにして仕事をするのが一般的ですが、andesignの場合はチームが交わることで生まれるイノベーションに対してクライアントに魅力を感じてもらわなければ、この屋号の意味が薄れていってしまいます。

つまり、「多種多様なデザインを1つの会社にまとめたデザインの村」、その村全体をデザインすることが私の使命であり、それが実現できたときには、今までとは異なるデザインイノベーションを生み出し、クライアントに納得してもらううことが可能になります。

今回は自己紹介のようになってしまいましたが、今の成熟した日本のビジネスにおいて、新しい世界を切り開いていけるデザインとは何かに知恵を絞り、今まで実践してきたことや、これからの仕掛けなどを僕なりに描いていきたいと思っています。(文・作画/佐々木博一、andesign)

佐々木博一株式会社andesign(アンデザイン)代表取締役、クリエイティブディレクター。20代で起業しグラフィックデザインと空間デザインの領域で、主に「人のくらし」にまつわる企業と深い繋がりを持つ。現在では親会社のデザイン業を中心に建設業と広告代理店業の子会社2つを持ち、グループ全体で約50名の社員で日々業務を推進する。企業コンサルティングからブランディング、グラフィック、そして設計・施工の実施まで、その領域は現在も拡大中である。コミュニケーションデザインという曖昧なカテゴリーの中で、日々奮闘や迷走を繰り返している。