安藤忠雄がカール・ハンセン&サンのためにデザインした”夢の椅子”が、いよいよ発売開始に。

「設計事務所をスタートさせた際、自分たちが使う椅子として最初に購入したのが4脚のYチェアだった」。そう振り返り、名作椅子の製造を手がけるカール・ハンセン&サンとの馴れ初めを語った安藤忠雄氏。そんな氏が、100年を超えて受け継がれる高度な職人技術によって優美で繊細な表情を持つ椅子を製造し続ける同社のためにデザインした「DREAM CHAIR(ドリームチェア)」が、このほど21_21 DESIGN SIGHTで披露されました。

▲ 量産タイプの家具をデザインしたのは今回が初めてだという安藤忠雄氏。DREAM CHAIRの製造は職人の手により1カ月に50脚程度を見込むという。

約2年に及んだ協同作業の末に完成したDREAM CHAIRは、2012年のミラノサローネでプロトタイプが公開されて以降、発売が待ち望まれていたアイテムです。Yチェアの作者であるハンス・J・ウェグナーへのオマージュという意味合いも兼ねたプロジェクトは、クリエイションに対していっさいの妥協を許さない両者が、互いの”誇り”をかけてぶつかり合った産物だといいます。

例えば、身体を優しく包み込むようにデザインされた優美なカーブを描くシェル。これは成型合板技術の限界に挑戦したクラフトマンたちの努力の賜物。「諦めず、よくここまでできた」という安藤氏の口から漏れた感想が、作業の困難さを物語っています。

▲ デンマーク本社から駆けつけたカール・ハンセン&サンCEOのクヌッド・エリック・ハンセン氏。発表会の挨拶で、「この椅子は安藤氏の強い信念を取り込むことにとても苦労しましたが、結果、従来のラウンジチェアの常識を超える革新的なデザインになった」と説明。ウェグナー作品の印象が強い同社のイメージに新風を吹き込むことも期待されているはず。

卓越した技術とものづくりにかける人々の誇りが生み出したDREAM CHAIR。空間に浮遊するような軽やかさと、確固とした存在感が織りなす唯一無二の個性は、さまざまな空間に新たな調和や刺激をもたらすことが期待されています。同製品はベースとなる木部にオーク材とウォルナット材の2種を用意、表面仕上げには貼り地を施さないタイプのほか、レザーやファブリックからの選択が可能。いずれにも調整可能なヘッドレストが付属し、販売価格は458,850円(税込)から。9月より店頭販売がスタートします。

DREAM CHAIR(ドリームチェア)
問い合わせ:カール・ハンセン&サン ジャパン
Tel:03-3265-4626
http://www.carlhansen.jp