エクストリームな瞬間の数々がそこに!
レッドブル主催の写真コンテスト「Red Bull illume」

自然や人物を対象とした写真において、“エクストリーム”なるものが表現ジャンルとして広く知られるようになったのは、そんなに古い話のことではありません。見た瞬間にアドレナリンが噴き出すような気持ちの高ぶりや、一瞬にして目が覚めるような興奮へと誘うそうした写真類は、切り取られた背景をじっくりと読み解く静的なものとは明らかに異なる趣を持っています。

▲「Experimental」部門の優秀賞も制したロレンツ・ホルダーの作品。ビルの壁面の一部を複製し、どこまでも連なる異世界のシーンを生み出しました。前面に写った人影の存在だけがこの作品の唯一の非対称となっています。

2007年、10年に続き今年で3回目を迎えたレッドブル主催の写真コンテスト「Red Bull illume Image Quest 2013」は、まさにそんな写真が世界中から集うフォトコンテスト。エキサイティングでクリエイティブなアクション&アドベンチャースポーツシーンを主な対象に、プロ・アマ問わず世界中のフォトグラファーが、息を呑むような決定的瞬間の創造に挑むプラットフォームとして知られています。

8月末に香港で開催されたセレモニーでは、124カ国からエントリーされた約2万8,000点の応募作品から、トップ50作品ならびに、「Experimental」「Close Up」「Lifestyle by Leica」といった10部門毎の優秀作品、さらにすべての作品を通じたベスト1を発表。最優秀作品にはドイツ人フォトグラファーのロレンツ・ホルダーによる、巨大な衛星パラボラアンテナを台座でトリックを決めるスノーボーダーの作品が選ばれました。


▲最優秀作品に輝いたロレンツ・ホルダーとその作品。同作は「Playground」部門の優秀作品にも選出されました。

作品の審査に当たった『USA Today』のフォトエディター、ジム・ウィルソンは、「今回、数多くの才能あるフォトグラファーの作品を見ましたが、そのなかには天賦の才を持つフォトグラファーが数名いました。彼らは単なるアクション撮影専門のフォトグラファーではなく、優れた技術と審美眼を併せ持つアーティストです」と全体を総評。エキサイティングでクリエイティブなアクション&アドベンチャースポーツ写真をアートとして展開し、その魅力を広く世界中に伝えることを目的に始まった同コンテストの充実振りを称えました。

▲アスリートによって選出されるアスリート・チョイスに選ばれた、米国人のモーガン・マーセンによる作品。サーファーが波待ちをしながら会話をしている光景を水中から捕らえています。どんな話が繰り広げられているのかつい想像したくなるのでは。

作品水準の高さや表現力もさることながら、個々のフォトグラファーの想像力こそがこの写真コンテストの魅力であることは、受賞作品からも強く伝わってきます。足を踏み入れたことのない領域に一歩づつ進んでいこうとする勇気と探究心に溢れたこれらの作品を前に、目にした人の誰もが、カメラを持って、戸外へ飛び出したい!という衝動に駆られるのではないでしょうか。まさに、創造を喚起するという言葉がピッタリの、実に見応えのあるラインナップとなっています。

▲「Close Up」部門の優秀作品に選出されたイェルン・ニューハウスの作品。勢い良くスケートボードで滑走しようとする、最高の瞬間を狙ったものだといいます。

審査で選ばれたベスト50の作品は2×2mのバックライト付き野外用展示パネルに貼られ、9月15日までの間、香港の夜景に彩りを与えた後、米国の各都市を巡回。その後、世界各都市の文化発信拠点でのナイトタイムエキシビションツアーが約2年かけて展開されるといいます。東京への上陸をぜひとも期待したいところです。

Red Bull illume Image Quest 2013
応募期間:2012年12月~13年4月30日まで
エントリー数:124カ国、6,147名から28,257点
URLhttp://www.redbullillume.com