ミラノサローネに見る素材 & 最新素材情報 vol.3
ーーマテリアルコネクション東京より

4月8日から13日まで開催されたミラノサローネ。マテリアルコネクションではフィエラ会場に毎年展示ブースを出展しており、今年もライブラリーに収蔵されている素材を多数展示し、多くの来場者で賑わった。トリエンナーレ美術館会場ではマテリアルコネクション イタリア主催の企画展『Material Village』を開催。中庭にテント型の展示ブースを設置し、イタリアを中心とした世界の素材メーカーが個性的な素材を紹介した。同時に、同美術館内のマテリアルコネクションのライブラリーには本物と見分けのつかないほど良くできた人工芝やバクテリアを素材化したパネルなど、新しい素材や実験的なサンプルを展示。素材の可能性とデザインの広がりを感じさせた。

今回はその他、ミラノサローネで気になったマテリアルをピックアップしてご紹介したい。今年のポイントは天然素材。当然、ウッドやレザーなどはインテリア業界では従来から使われているが、今年は加工方法や素材を使用する対象が変化し、新しい価値を感じさせる製品が多かった。特に大理石に対する特殊な加工や使い方が興味深い。切削技術が向上したのか、大理石でアレッサンドロ・メンディーニのソファやグランドピアノをつくったりと、オブジェ的ではあるものの、大理石の表現の幅を提案していた。

外装や床・壁または面材という印象が強い大理石だが、三次元立体形状に加工していることで、プロダクトの領域に入り、新鮮な驚きにつながっている。素材は加工で大きく印象が変わるため、その特性や最新の加工技術などを知ることが、新しい価値を創造するきっかけとなるだろう。

もう1つはウッド。ウッドの世界ではリアルウッドからフェイク品までさまざまな素材があるが、今年は特にリアルウッドにも表面加工を加える事例が多く、それゆえに、よりリアリティを増したフェイクウッドとリアルウッドの見分けがつかなくなってきていた。キッチンや家具、プロダクトにいたるまで、さまざまなウッドの表現と使用方法があり、それらをコーディネートすることで、リアルとフェイクの境界線がますます曖昧になっている。これからはリアルやフェイクという概念すら、陳腐に感じるのかもしれない。

これらミラノサローネで展示されていた素材については、5月22日(木)にマテリアルコネクション東京で開催されるセミナーで、画像とともにご紹介。詳しく情報はこちらに掲載予定。

続いてマテリアルライブラリーに入荷した最新素材30点のなかから、注目素材4種類について紹介。

表面のコーティングにより、さらっとした触感のあるポリオレフィン95%の多層フィルム。主に自動車内装の用途に耐えられるだけの、耐光性・耐薬品性・耐摩耗性を有し、3Dにフォーミングできるのが特徴。黒マットで最も気になる指紋跡も目立たない。前述のミラノサローネでもテーブルやキッチンのドアなど手で触れる場所にこのようなさらっとした触感が用いられていたため、自動車内装にとどまらず、家具やインテリアにも利用できそうな素材。

柔らかい触感のTPU(熱可塑性ポリウレタン)がパターニングされて、部分的にフィルムやファブリックの上に形成された人工皮革シート。TPUのグラフィックパターンは印刷により形成され、その上から着色される。色の耐変色性や耐摩耗性は、商業施設向けのインテリア用途を満たす程度の試験結果は出ている。ファブリックの場合、通気性もあるため、ファッションへの用途の広がりも想定される。

エネルギーを吸収するためのハニカム構造素材。ストローのような円形のセルが互いに熱圧着されており、セルの密度が高いほど高い圧縮強度が得られる。通気性が良く、球体に形づくることもできるため、ヘルメットなどの用途に使用されている。セルに使用されるポリカーボネートの色を15種類から選べ、組合せることもできるので、単なる構造体としてだけでなく、見せる構造体としても使用できそうだ。

傾斜のついた小さな六角形の木の部材を、さまざまな向きに並べることで陰影のある表情を出すことができるタイル。あらかじめパターン化されたタイルの状態でも購入できるが、部材1個からでも販売されている。また、光沢やマット、形状や大きさも特注することができるため、特注の壁やインスタレーションなど自由度のある内装装飾が可能となる。

上記およびその他素材に関するお問い合わせは、マテリアルコネクション東京まで。ホームページはこちら