柳家花緑 × コスモスイニシア
「すごしかた落語会」レポート

去る9月9日、アクシスギャラリーにて、コスモスイニシア創業40周年記念イベント「すごしかた落語会」が開催されました。出演は柳家花緑さん。100名を超えるお客様を前にしての大熱演。落語を聞くのは初めてというお客様も多数いらっしゃいましたが、落語の楽しさをわかっていただけたことと思います。

一席目の演目は「宮戸川」。宮戸川とは隅田川のある一画の呼び名のこと。将棋にうつつを抜かして帰りが遅くなった半七。親から閉め出しをくらい、同じく閉め出しをくらったお花とともに、叔父の家に泊めてもらうことに。叔父はふたりを良い仲だと勘違いし……。

中入り後は、花緑さん、コスモスイニシア マンション事業部の高田綾子さん、AXIS編集長・石橋勝利によるトークショー。高田さんより「イニシア武蔵新城ハウス」とそのコンセプトである「やさしいシカク」についての紹介を受け、「落語に出てくる長屋はマンションのはしりではないかと思います」と花緑さん。話題は、かつての長屋の暮らしぶりとともに、現代の家族やコミュニティのあり方・くらし方へと移りました。「集合住宅としてマンションは長屋から大幅に進化したものの、人と人との関係性はむしろ長屋から学ぶものが多いのではないか」(花緑さん)とも。

最近の多様なくらし方を見れば、決められた間取りに従って生活するのはナンセンス。プライバシーを高めた個室で用途を限定するよりも、もっとオープンな空間が必要とされているのかもしれません。さらに、住宅において大切なことは、豪華な設備や高級な素材ではなくて、その人や家族なりのすごし方とともに、住宅があるということ。現代の長屋ともいえるマンション、そのあり方についても、話題が尽きませんでした。

二席目は「井戸の茶碗」。正直者のくず屋の清兵衛が、とある長屋に住む頑固者の貧乏浪人から買い取った仏像。それを気に入った細川家の若い侍が買い上げてくれたのだが、なんと仏の中から小判で50両が出てきた。さあこのお金はいったい誰のものになるのか。正直者同士が「受け取れ」「いや受け取れぬ」とやりとりを繰り返すうちに、ホロリとさせられる結末へ……。

爆笑だけでなく、ホロリともさせられる。花緑さんの熱演とともに落語の奥深さにも触れた秋の一夜でした。

ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。