「LEXUS DESIGN AWARD 2015」審査会レポート

3回目となる「LEXUS DESIGN AWARD 2015」の審査会が11月24日に行われ、その一部がメディアに公開された。今年、世界75カ国から寄せられた応募作品は1,171点。これまでは世界に散らばる審査員とメンターがそれぞれに候補作品を絞っていったのに対して、今回初めて東京に集まり、顔を合わせて議論を交わしながら選定を行った。全応募作品の中から事前審査で約200作品を選考。審査員、メンターが集合しての審査会では、そこから40作品にまで絞り込んだ。その後、4人のメンターそれぞれがプロトタイプ制作候補として推す作品を5作品ずつ挙げ、審査員を前に推薦する理由を説明し、ディスカッションしていくという進行だった。
最終的にプロトタイプ化される4作品の選定は、4人のメンターそれぞれが候補として選んだ5作品を持ち帰り、候補者とのセッションを通して年末に確定する。
公開審査を終えた日、審査員のひとりで第1回から審査してきたdesignboomの創設者、バーギット・ローマン女史とメンターのひとりである建築家・エンジニアのアーサー・ファン氏に話を聞いた。(取材・文/長谷川香苗、写真/西田香織)

▲審査会の会場となったINTERSECT BY LEXUS TOKYO

―第一回目のアワードから審査員をされています。関わることになったきっかけを教えてください。

ローマン:designboomはこのコンペティションの事務局としての役割を担っています。全応募作品の中から第一次審査で約200作品まで絞る作業はdesignboomのスタッフが行っています。他の審査員のみなさんはLEXUSインターナショナル・プレジデントの福市さん、建築家の伊東豊雄さんをはじめ多忙な方ばかり。designboomでは日々寄せられる膨大なデザインの情報に15年間、目を通してきたので、応募案がこれまで発表されたことのないものか、すでにあるデザインと類似していないか見分けることができます。これはLEXUSにとっても重要ですが、デザイナーのクリエイションを守るためにも大切なことです。なので、私の役目は重要です。またdesignboomでは過去10年に渡ってデザインコンペティションを開催してきました。こうした実績から審査の公平性については応募者のみなさんも信頼してくれていると思っています。

▲審査員のバーギット・ローマン氏(デザインブーム編集長)

―LEXUS DESIGN AWARDは他のデザインコンペティションとどのように違うとお考えですか?

アーサー・ファン:対象とするカテゴリーが決まっていないところです。建築、プロダクト、ファッションから、香りまで含めて形は自由です。テーマからもわかると思いますが、前回の「CURIOSITY」、今回の「SENSES」はカテゴリーを限定するものでなく、さまざまな表現形式を可能にします。だから寄せられた作品は多様。そうした状況ですから、審査する側は建築、家具という既存のカテゴリで見るのではなく、アイデアの創造性、革新性、社会性といった視点から評価することになるのです。

▲メンターのアーサー・ファン氏(建築家・エンジニア)

―今回の応募作品についての総評をお聞かせください。

ローマン:募集テーマの「SENSES」は大きいテーマなので難しかったと思います。「モビリティ」のように機能が決められているテーマのほうがやりやすかったでしょう。しかし、「SENSES」は人によって感じ方が違うゆえに寄せられた作品の表現形式は多岐にわたりました。そんな中、印象的だったのは癒しを意識したデザインが多かったこと。世界全体が疲弊している世相の表れなのかもしれません。

入賞作品の発表は1月下旬を予定しています。
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