シリーズ第3回 
「LIVING & DESIGN 2016」を語る。
ダイキン工業

いよいよ来週10月12日(水)から、住空間・インテリア関連産業見本市の「LIVING & DESIGN」大阪南港ATCホールでスタートします。8回目を迎える今年は「テクノロジーが創り出す次世代のリアルデザイン」をテーマに、人々のライフスタイルに応じた提案や商材の数々を紹介。出展各社は住宅の快適性を高める技術のアピールにも余念がありません。

LIVING & DESIGN 2016の見所を出展者にフォーカスして紹介している連載の最終回は、欧州で人気のデザインを採り入れた薄型エアコンを10月に発売したダイキン工業です。1台の室外機で複数の室内機を制御できるマルチタイプとして、主に大型住宅での利用を想定。空気の流れをイメージしたデザイン性の高さでインテリアにこだわりを持つ層に向けてアピールを行う予定です。毎回趣向を凝らしたブースデザインで注目を集める同社の今年の展示について、担当者の皆さんに話を聞きました。

▲LIVING & DESIGN 2014でのダイキン工業のブース。天井と壁をゆるやかな曲線で結ぶ扇形を採用したエアコン本体のデザインと、それが生み出す気流の心地よさを象徴的に表現し、評判を呼びました。

「空気もデザインできる」を訴求

——ダイキン工業は5年連続、5回目の参加になります。凝ったブース演出も毎回注目の的です。

 最初の3回は、最新の壁掛けエアコンを紹介することに主眼を置いていました。環境負荷の少ない新冷媒R32を使ったエアコンを展示した際は空調機器の環境性能を訴えるためにエアコンの周囲に草や木などを置いたり。また、風の吹き出し方や流れに特徴のある製品では、プロジェクションマッピングの技術を用いて空気の流れを可視化した演出を行いました。去年は、空間にさりげなく調和する埋め込み型タイプの製品需要を伸ばしたいということもあり、展示を含め訴求方法を少し変えました。今年もその流れを踏襲した内容になります。

——今年の展示の見所を教えてください。

 新しい住まいを考えるとき、間取りや内装をデザインしていくように、「空気もデザインできる」ということを訴えたい。そして、空調の選び方次第で、実は「空間もデザインできる」ということを感じてもらえればと思っています。今回展示するのは、そのことを端的に示す住宅用マルチエアコン室内機の新製品「NEW WAVE UXシリーズ」です。左右両端の厚みを129mmに抑え、壁との一体感を追求したエアコンです。ブースのデザインも、そうした空間との親和性の高さをアピールしたものになるでしょう。

——なめらかな曲線を描き、左右にいくにしたがって広がるように薄くなるフロントパネルのデザインが印象的です。

 壁との一体感を強く意識したデザインになっており、デザイン感度の高い住宅設計関係者の方々にぜひ見ていただきたいと思っています。その意味で、感度の高い人たちが多数来場するLIVING & DESIGNは恰好のアピールの場だと考えています。是非ともブースに足を運んでいただき、今後の住まいづくりのなかでハウジングエアコンやマルチエアコンを設備検討の際の1つの選択肢に加えていただきたい。

▲住宅用マルチエアコン室内機の新製品「NEW WAVE UXシリーズ」。住宅用のマルチエアコンは1台の室外機に複数の室内機を接続でき、外観をすっきりさせられる利点があるといいます。先行販売された欧州市場での人気を受けて、国内市場に投入されました。

理想の住まい方に合わせた空調デザインを

——エアコンをインテリアの一部と捉え、デザイン性を重視した商品開発は近年他社も力を入れていますが、一方で省エネ性能や人感センサーなどを組み込んだ快適性の向上も開発の大きなテーマです。

 当社のビジネスは温度・湿度調節、空気清浄、換気を含む空調ビジネスだと捉えています。エアコンを生活家電と考えている住宅メーカーや施主の方も多いでしょうが、空調は空間を形成する重要な要素である「空気」の質をコントロールする設備です。また、空気の質をコントロールすることで、安心で快適な空間づくりに寄与します。つまり、われわれのビジネスは、建材や内装、家具などと同様に、住まいの空気をデザインするという意味で、住空間産業の一翼を担うものと認識しています。そのため住宅設計の段階で空調も重要なファクターとして検討いただきたいとの考えのもと、商品開発や販促を展開しています。

▲10年前まではプロダクトデザインを担当していた空調営業本部 事業戦略室 住宅用事業グループの清水久司さん。協力会社とともに、「前回との違いを意識しながら、毎回どのようなブースにするかを考えるのが楽しい」と話します。

——今年のLIVING & DESIGNは、テーマに「テクノロジーが創り出す次世代のリアルデザイン」を掲げています。空調ビジネスはテクノロジーとともに大きく進化してきた分野ですが、今後についてはどのような展望を描いていますか。

 現在エアコンを利用している人たちの大半は、部屋ごとに広さに見合った能力の製品を選べばいいという認識だと思います。しかし、今後は理想とする住まい方に合わせた空調デザインという考え方が主流になっていくはずです。そのなかで例えば、キッチンスペースの空調というのはとかく忘れられがちです。しっかりと空調設計をすれば埋め込みタイプのエアコンと天井裏のダクトを使って、キッチンに吹き出し口を設けることができますし、廊下やサニタリーといったスペースも同様です。空調面からも美しい暮らしを実現したいと考えるなら、設計の初期段階からきちんと考えを折り込んでいくのが理想ですし、そうした流れに向かっていくと思っています。

▲「NEW WAVE UXシリーズ」の設置事例。壁面との一体感が際立つデザインは、ドイツを拠点に活躍する工業デザイナーのアレキサンダー・シュラッグ氏との共同開発。室内機のカラーはホワイトとシルバーの2色展開となっています。

多彩なテクノロジーを組み合わせる

——主力である壁掛型ルームエアコンの状況は?

 これらの市場はすでに何年も前からほぼ横ばい。新規需要は全体の3割程度で、それ以外の大半が買い替え需要です。こうした需要構造の特殊性もあり、事業として伸び代があると考えているのが、今回展示をするハウジングエアコンやマルチエアコンといった宅設備機器に当てはまる分野です。また、当社では温度だけではなく、年間を通じて湿度をコントロールする機器や空気清浄機もラインアップしています。こうした多彩なテクノロジーを組み合わせることで、理想とする生活の実現を陰で支えていく存在になれればと思っています。

——業界の活性化や生活者の暮らしに対するデザイン意識の向上を、LIVING & DESIGNとともに図っていきたいと話されています。

 空調のこともしっかり考えて住空間をつくるというのは文化のレベルだと思いますが、家具や照明の分野に比べると空調はまだそこまで成熟していません。空調や空気に対する意識や感覚に対するレベルの底上げを、今後も一緒にやっていきたいですね。

——4区画(コマ)を使っての展示ということですので、「空間を魅せる」という「UXシリーズ」の特徴を実空間に近い感覚で体験できるような演出を期待しています。(インタビュー・文/編集部・上條昌宏)

▲取材に応じていただいたダイキン工業の皆さん。右から、空調営業本部 事業戦略室 販促企画担当課長の野地由起子さん、同住宅用事業グループの清水久司さん、同販促企画グループの小藪真実さん。「端正なデザインを生かしながら、同時に風の動きやUXシリーズのある暮らしを想起させるようなブースをつくりたい」と語ってくれました。

LIVING & DESIGN 2016 住まいと暮らしのリノベーション TOTAL INTERIOR
会期:2016年10月12日(水)~14日(金)
時間:10:00~18:00 (最終日は17:00まで)
会場:大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10)
入場料:1,000円(招待状持参者、事前登録者は無料)
主催:LIVING & DESIGN 2016実行委員会
総合プロデューサー:喜多俊之
会場構成ディレクター:間宮吉彦
コーディネーター:川上玲子

問い合わせ先:LIVING & DESIGN 実行委員会 事務局info@living-and-design.com
ダイキン工業のブースは、カフェゾーンを正面に、左手22番コーナーになります。

第1回(谷元フスマ工飾)の記事はこちら
第2回(伴戸商店)の記事はこちら