新刊案内「図面でひもとく名建築」
五十嵐太郎・菊池尊也 編著

「図面でひもとく名建築」

五十嵐太郎・菊池尊也・東北大学五十嵐太郎研究室 編著
(丸善出版 1,800円+税)

名建築といわれるものは写真で見れば雰囲気は感じられるものの、その設計の意図を汲み取るためには図面が一番だ。建築の図面には、写真や言葉だけでは伝わりきらない建築家の想いが宿っているという。

しかし図面は読み方がわからない人にとっては記号のようなもの。本書では図面初心者向けに予備知識がなくとも図面をじっくり見ることで答えられる問題を出題、続けてわかりやすく要点を押さえた解説を読むことのできるQ&A形式で建築を読み解いていく。

取り上げられている事例もシャルトル大聖堂や薬師寺東塔などの歴史的建築からル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトら近代の巨匠による建築、そしてSANAAやフランク・ゲーリーといった現代の建築と実に幅広い。図面を読むことは空間に込められた意図を設計者の目線から解読できる方法であり、ときには実際に訪れて感じられること以上の情報を与えてくれる。

屋根の形状やわざわざ設けられた段差の1つ1つに理由があるのだ。図面から空間を事細かく想像できる面白さに気づかせてくれる一冊。

A5判、192ページ。