80歳のコッポラ夫人による
長編デビュー作、
「ボンジュール、アン」

▲the photographer Eric Caro (C) American Zoetrope, 2016

フランシス・フォード・コッポラの妻であり、ソフィア・コッポラの母であるエレノア・コッポラによる初の長編劇映画監督デビュー作、「ボンジュール、アン」が7月7日からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開される。

本作はカンヌからパリへ、フランス人男性と予期せぬ旅をすることになったエレノア自身の体験をもとに脚本を執筆。彼女自身が投影されている主人公アン(ダイアン・レイン)は、有名な映画プロデューサーである夫のマイケル(アレック・ボールドウィン)を支え、仕事に子育てに邁進し、自分のことは後回しにして生きてきた女性だ。

娘も学校を卒業し独立していった今、アンが自分自身に「これからどう生きるの?」という問いを投げかけるきっかけとなったのは、夫の仕事仲間のフランス人男性・ジャック(アルノー・ヴィアール)とカンヌからパリへ向かうドライブだった。単なる移動に過ぎないはずだった7時間の旅路がジャックに魅力的なレストラン、コート・ダジュール地方の名所や遺跡へと案内されるうちに、忘れがたい小旅行へとかたちを変えていく。

▲the photographer Eric Caro (C) American Zoetrope, 2016

美味しい食事にワイン、美しい景色を何よりの喜びとするジャックのユーモアと機知に富んだ会話を楽しむうちに、アンは自分が本当は何が好きで、どんな才能を秘めていたかを発見し、この思いがけない寄り道から人生の新たな始まりの1歩を導き出す。忘れていた自分と出会う時、彼女が踏み出す先に見えるのは……。

本作はまず、観る者の想像力を満たしてくれるフランスならではの鮮やかな食事の描写に目を奪われる。美味しい食事が人生の喜びだと言ってはばからないジャックのおおらかさに思わず笑い、そして大きく頷いてしまうだろう。偶然のドライブをきっかけに揺れ動く、アンの自分自身の喜びを発見しながらも少し戸惑う姿に共感し、徐々に変化する彼女の表情には勇気が湧いてくる。ジャックが案内するこの旅は、まるで前菜からデザートまでたっぷりと豊かなフルコースそのものだ。

▲the photographer Eric Caro (C) American Zoetrope, 2016

アンの心情に従って色鮮やかに変化する衣装デザインは、ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」でアカデミー賞を受賞したミレーナ・カノネロが担当。プロヴァンスの古城やリュミエール研究所、サント・マドレーヌ大聖堂などの名所のほか実在の人気レストランも登場する、見所たっぷりの映画。

「ボンジュール、アン」
2017年7月7日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開
監督:エレノア・コッポラ
出演:ダイアン・レイン
   アルノー・ヴィアール
   アレック・ボールドウィン
上映時間:92分
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES