ゴミ箱を底から覗いてみよう

今回は、学びについてです。

まずは、一般社団法人廃棄物資源循環学会の春の研究発表会(研究討論会)が9月6日~8日、東京工業大学で行われました。「学会の使命は、物質循環と廃棄物管理に関する学の体系化を進め、学術的立場から社会の先導的役割を担い、循環型社会の形成と廃棄物問題の解決に貢献すること」とあります。私たちのような廃棄物業者の集まりとは違います。こちらは、いわば有識者の集まりです。もちろん廃棄物業者もいますが、環境負荷を減らす焼却炉のプラントメーカー、機械メーカー、大学の機械・工学の教授など、あらゆる分野の有識者が集まり、環境課題に対峙する会です。私たちはその中の1つの部会、環境学習施設研究部会(環境学習施設を考える会)に協力するかたちで、廃棄物をとおした環境学習の推進に尽力している人々とともに出展しました。

ナカダイでもいろいろなワークショップをやっていますが、各都道府県、市町村が持つ焼却場などに併設された環境学習施設でも、いくつもののワークショップと体験ができるようになっています。この学会の使命同様、環境学習の先駆者が集まって顔を合わせるということは、環境に対する学びを、身近な廃棄物を使った工作やゲームを通じて、楽しみながら、しかし、未来の地球環境と共存できる社会の基盤づくりとより効果的な連携のかたちを探ることができます。ナカダイの社員は、廃棄物リサイクルのプロですが、広い意味での環境負荷低減に対してはまだまだ勉強が必要です。環境学習ゲームをとおして、楽しみながら学ぶ体験をしました。

こちらは、ビジネスの学び。イノベーターズ100広島です。さまざまな分野で活躍する(私も含まれています。すみません……)人を呼んで、スタートアップと新規事業の参考にしてもらい、広島から新しいビジネスの創出を目指しています。

これまでの概念にとらわれないアイデアは簡単には出ず、さらにそれを実行する環境の厳しさもあり、参加者は本当に高い意識を持って参加していながら、なかなかブレイクスルーできないジレンマに陥る事例も少なくありません。
地方創生という掛け声だけではなく、そこでの生活を考えれば、魅力的な仕事、ビジネスが欠かせません。魅力的とは、収入が多いだけではなく、未来に希望が持てることでもあります。

お金儲けだけではなく、社会課題を解決することで稼げるビジネスの創出を、私たち含め、全員で真剣に向き合っています。現在、行政がリーダーシップをとって、地域のビジネス創出に真剣に取り組んでいる事例がたくさんあります。新規事業が生まれることは、そこでの雇用が生まれることを意味します。雇用は生活であり、生活は地域の活性化につながります。一過性のイベントではなく、地域に根付く産業を育てることは、地方の行政にとってとても大事な要素になっています。

私の視点は、どうしたら売れるかではなく、なぜ捨てられたかです。例えるなら、ゴミ箱を底から覗いているようなものでしょうか。廃棄物は、その時代を映し、捨てられるタイミングを見ることで、経済や生活のリズムまでつかめます。ビジネス創出のためには、視点の変化が重要です。たくさんの事象に触れることで、たくさんのことに興味がわき、たくさんの視点で見ることができるようになります。廃棄物処分場は、いやでも毎日たくさんの事象に触れることができます。ゴミを捨てる側からは見ることのできない世界が広がっています。毎日運び込まれる大量の廃棄物を継続的に見続けることから学ぶことは、私たちが認識している以上に大きいかもしれません。End